『ゆびさきと恋々』説得力ある手話シーンには専門の作画担当と監修がいた。アニメ監督に訊く、作品をモット楽しめる“こだわり”の数々
恋心伝えたシーンに込められた、世界観を重んじるこだわり
――そして第5話~第6話では逸臣と雪の持っていたすれ違う想いが遂に繋がりました。ここでは逸臣が自ら手話を覚えて、思いを伝えることが大きな見所だと思うのですが、一連のシーンでのこだわり、教えてください。 告白してるところって他人に見られたくないじゃないですか。なので背後にいるりんや京弥は完全に画面内から排除して、周辺の街明かりなども極力排除して、世界中に雪と逸臣の二人だけという世界を演出しています。それがあからさまにならないよう、自然に見えるような塩梅を探るのが中々難しくて…。 6話最後の背後からの抱擁シーンも、あえて二人の周辺以外の街のライティングをオミットすることで美しい画面になったんじゃないかと思っています。リアルな風景と心象風景をうまく混ぜ込んでシーンの意図をより効果的に伝えたいというのは、この作品で強く拘っている部分ですね。
「字幕版」には制作陣の思いが詰まっている
――最後に、本作は通常版に加えて、字幕版がストリーミング配信などで観られますが、字幕版制作への思いや、字幕版ならではの魅力を教えて下さい。 この作品は他作品以上に、耳の聴こえない当事者の方達に見ていただく機会が多い作品だと思うんですよね。字幕版を用意しようというのは、誰が言い出すでもなく全員の共通認識のような形で最初からありました。ただやっぱり、原作者の森下suu先生の想いが強いですかね。この作品を愛している当事者の方達への先生の情熱は並々ならぬものがありますから。そこに近付けるものにする為にも、字幕版は絶対に必要だったと思います。 ――早くも折り返しに到達しました。今後ますますときめく雪たちをお届けするに当たり、特に注目してみてほしいポイントをお願いいたします。(インタビューは7話放送前に実施しています) 色々散りばめてきたアニオリも、些細な描写も、全て残りの話数で大団円を迎えるためのアクセントです。それらが集約して迎えるラストは、今まで追い続けてくれた皆さんにもきっと気に入っていただけると思います。制作現場は佳境ですがスタッフ一同誠意を込めて作業していますので、皆さん楽しみに待っていてください! ――ありがとうございました!