Juju、SF参戦を通して“クルマづくり”で成長見せる。話題を呼んだ強気のバトルは「郷に入れば郷に従え」の考えも
2024年、日本人女性として初めてスーパーフォーミュラに参戦したJuju。シーズン成績は最高位12位でランキング21位に終わったが、全戦で完走を果たし、国内トップフォーミュラというハイレベルな舞台で貴重な経験を積んだ。12月上旬に都内で行なわれたファンイベントの中でも、18歳のJujuがどのような点で成長したかについて、裏話も交えながら語られた。 【ギャラリー】F1ドライバーのオリバー・ベアマン、スーパーフォーミュラ&鈴鹿を初走行 スーパーフォーミュラでの経験値はもちろんのこと、日本のサーキットの経験値もライバルと比べて不足した状態でシーズンインを迎えたJujuだが、テストでは徹底的に走り込み、決勝レースも全て完走。本人も、マイレージを稼ぐというのはひとつの目標だったと語る。また、もうひとつの目標である「ひとつひとつのレースで学び、成長を見せる」ことに関しても、自分自身で成長を実感したという。 では具体的にどんな点で進歩したのか? Juju曰く、ドライビングはもちろんのこと、チームのエンジニアとコミュニケーションを取って行なう“クルマづくり”という点でも成長できたという。 「私自身、TGM Grand Prix(2024年の所属チーム)のような大きなチームでレースに出ることも初めてでした。人数が多くなると、コミュニケーションもそれだけ大変になりますし、このハイレベルなレースではクルマに対する知識も今まで以上に必要になってきます。そういった部分でも、すごく成長させていただいたかなと感じています」 「今までは父と一緒に(レース活動を)やってきて、父がエンジニアでしたが、人によってコミュニケーションの仕方は違いますし、伝わり方も違います。新しく出会った人とコミュニケーションをとっていくというのも初めての経験だったので、そういった伝え方という部分もだいぶ成長できたのかなと思います」 これについて、彼女の父親でありNODA RACING監督、今季はアドバイザーとしてチームに関わった野田英樹氏もより詳細に補足した。曰く、セッティングに関しては当初チームメイトの流れをトレースしていたが、後半戦にはJujuが乗る53号車のスタッフで独自のセッティングを進めるようになり、課題であった予選一発のタイムにも改善が見られたという。 「私はアドバイザーという立場で、セッションが始まるとコース脇に行って走りを見て、それをデータと照らし合わせて、ドライバーやエンジニアの意見を横で聞きながらアドバイスできる時はアドバイスしていました。自分がすごく印象に残ったのは2回目の富士(第6戦・第7戦)です」 「それまでは、チームをリードしている経験のあるドライバーが乗っている55号車のセッティングを基本的には応用してサーキットに持ち込んでいました。Jujuは経験不足ということもあり、週末が始まっても基本的には55号車の流れを追いかけていました」 「ただJujuも少しずつエンジニアとコミュニケーションが取れるようになり、クルマの知識も増え、表現力も良くなっていきました。それまでは私がエンジニアとの間に入っていたのですが、間に入らなくてもコミュニケーションが取れるようになっていきました」 「そして富士のレースでエンジニアに、『55号車を意識せずに(Jujuが乗る)53号車なりのやり方をやってみないか』という話をしたんですね。Jujuのドライビングに合わせてエンジニアがセッティングを進め、その方向で車を持ち込んだところ、フリー走行で55号車(大津弘樹)のコンマ3秒落ちでした。それまでは、大体1秒落ちくらいのところでしたから」 「それが本人の成長を感じられた部分でした。一発のタイムを出しに行くという点で、あの走りは良かったと印象に残っていますね」 ■国内レースでのバトルは「郷に入れば郷に従え」 またJujuと言えば、ライバルとのバトルがクローズアップされることもあった。特に話題となったのが最終鈴鹿ラウンドでの小林可夢偉とのバトル。最終的にはシケインでの攻防で小林に対してペナルティが出されることになったが、小林はストレートでJujuを追い越そうとした時に危険な幅寄せをされたとして、シケインでアグレッシブに攻めるしかなかったのだと説明している。 これについてJujuは、これまで4輪レースをしてきたヨーロッパと日本では“常識”が違うと語った一方で、“郷に入れば郷に従え”の精神で日本のレースにも適応する必要があるとの見解も述べた。 「日本に来て思ったのは、ルールや駆け引きという点で考え方や認識の違いがあるんだなということです。自分にとって常識だったものが日本では常識じゃない、日本のレースはこういうものなんだ、ということがすごく勉強になりました」 「それはどちらが正しいとか、間違っているということではなく、郷に入れば郷に従え、ということだと思います。日本の常識に関しても、理解を深めていきつつ、ヨーロッパに行った時はそっちに切り替えることも忘れてはいけないと思います。レースをする国それぞれの常識を学んでいけたらと思います」 Jujuのスーパーフォーミュラ参戦については、苦戦することは承知の上で、「このチャンスを活かせれば、3年後にすごいドライバーに化ける可能性がある」という思いでチャレンジしていると語る英樹氏。来季参戦継続の可能性は低いとしたが、参戦を引き続き模索していると見られる。2年目のシーズンが実現すれば、さらなる成長と伸びしろを見せることができるだろうか。
戎井健一郎
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