デンマークの新生ブランド〈オドー・コペンハーゲン〉に注目|小西亜希子の北欧デザイン通信
── ノーム・アーキテクツとブランドの関係性について教えてください。 フレデリック ヨアキムの先代にあたるお父さまが〈メニュー〉を手がけていた15年前、リブランディングやプロダクト・デザインを担当したのが始まりです。その時はまだ自分たちも小さなスタジオでした。お互いに長い間リレーションシップを続けながら少しずつ一緒に大きくなって進化してきたので、ノーム・アーキテクツにとっても大事なコラボレーション先ですし、いわば家族のような存在です。〈オドー・ハウス〉も空間設計やコンセプトワークを担当しており、「ソフトミニマリズム」という自分たちのコンセプトをもっとも体現したブランドだと言えます。今回の〈オドー・コペンハーゲン〉への転換も含めてデザインパートナーとして深く関わっています。
── デンマーク国外では日本が初めてのショールーム展開だそうですね。なぜ日本に? ヨアキム デンマークと日本のデザインは伝統的な美学に対する親和性やクラフツマンシップの質の高さなど、様々な共通点があると感じていました。フレデリックが日本で様々なプロジェクトに携わっていることもあり、いつかは自分たちもやれたらいいなと思っていました。今回、ルイスポールセン・ジャパンがオペレーションを担当してくれることになり、ようやく実現できたことを本当に嬉しく思っています。彼らの経験を活かして、新たなビジネスネットワークを構築していけたらいいですね。
── デンマークのインテリアブランドは既に日本でも多く展開されている中、ブランドの個性や特徴はどういった点にあると思いますか? ヨアキム 〈オドー・コペンハーゲン〉は過去の優れた巨匠たちがデザインした、名作家具の復刻もしています。ヘリテージデザインやコンテンポラリーな新作の家具やプロダクトまで、これまでたくさん手がけていますが、いずれも単なるプロダクトブランドではなく空間を含め全体を体験することで感じてもらえる世界観を大切にしています。ソフトミニマリズムというコンセプトに沿いながら、人と人との繋がりやコミュニティの醸成を図りつつ、“Audo”の考え方と共通する「らしいもの」を軸に今後も製品化していくイメージです。 フレデリック ユーザーと一緒に体験できる空間を作っていく、という視点はこれからもっともっと主流になっていくのではないかと感じています。〈オドー・コペンハーゲン〉は家族のような関わりで長く深く、本質的なところから入っているので単に仕事のオファーでプロダクトとしてこういうデザインを作りたいから作る、ということではないですね。〈オドー・ハウス〉の例のようにいくつものファンクショナルスペースを持ち、幅広い業態から成り立つ世界観に見合う、長期に渡り使えるものをデザインして行けたらと思っています。そういった見方からプロダクトが生まれる点は他の家具ブランドと少し異なるかもしれません。