日立、OSS活用をリードする組織「Open Source Program Office(OSPO)」を設立
株式会社日立製作所(以下、日立)は、社会インフラへの豊富なOSS適用実績やコミュニティをけん引してきた技術力・知見を生かし、日立グループでの戦略的なOSS活用をグローバルでリードする「Open Source Program Office(以下、日立OSPO)」を設立したと発表した。 日立OSPOは、先進的なOSSの探索と活用戦略の立案、OSSライセンスなどのコンプライアンス管理や高度エンジニアの育成、OSS普及を推進する。60人規模でスタートし、今後、グローバルを含め100人規模の体制に強化予定。これらの活動を通じ、企業・政府機関のステークホルダーとのオープンイノベーションで社会課題を解決するとともに、幅広い分野の顧客のDX加速に貢献していくとしている。 日立OSPOの代表(Head of OSPO)には、日立のチーフOSSストラテジストである中村雄一氏が就任した。中村氏は、「私はこれまで20年以上OSSコントリビューターとして、現在はThe Linux Foundation(以下、LF)のボード・エバンジェリストとして、OSSのコミュニティ活動とビジネス活用の両立・連携を追求してきました。これまでの経験を生かし、日立OSPOがOSSのコラボレーションの文化を日立グループに浸透させ、One HitachiとしてOSSコミュニティ貢献をリードし、グローバルトップクラスのエンジニアを育成してまいります。そして、LFとも協力し、日立OSPOのノウハウを複数のコミュニティで継続的に共有し、OSSにより持続的に成長する社会の実現に貢献していきます」と述べている。 日立は、2000年のLF創立当初よりスポンサーとして、Linuxカーネルの信頼性向上や、Keycloakの金融向けセキュリティの欧州・南米の規格に対応した機能開発に取り組み、コミュニティ活動を通じて日本における普及活動も推進し、OSSの普及・拡大に貢献してきた。 近年、OSSはクラウドネイティブ技術や機器の制御など幅広い分野で普及拡大しており、OSSを適切に活用するためのルールづくりやプロセスの策定、それらを運用できる体制の整備が重要になっていると説明。また、OSSコミュニティは、世界中のエンジニアがさまざまなステークホルダーと連携しながら活発に議論し、新機能や共通規格を発展させるオープンイノベーションの場となっており、こうした背景のもと、グローバルな企業や政府機関では、OSS活用とOSSコミュニティ貢献を行う従業員の活動を組織的に支援する専門組織としてOSPOの設置が進んでいるという。 日立OSPOの発足について、The Linux Foundation Executive DirectorのJim Zemlin氏は、「OSPOの設立は世界的なトレンドであり、OSSへの取り組みを効率的に管理するためには、企業に不可欠な組織です。日立がOSPO設立によって戦略的なOSSへの投資に踏み切ったことを、とてもうれしく思っています。また、日立がベストプラクティスを他の企業や団体に展開しようとする姿勢を歓迎します。The Linux Foundationは、日立の取り組みをできる限り支援していきます」と述べている。
クラウド Watch,三柳 英樹