3月末に「退職金2000万円」で退職しました。確定申告をすれば「退職金の税金が還付される」と聞いたのですが、そんなことってあるんでしょうか? 退職時に「源泉徴収」は対応済みです
多くの会社員にとっては人生で一番大きい収入ともいえる退職金ですが、税金については、勤め先で事前に手続きすることで源泉徴収されるため「確定申告の必要はない」と考えている人が多いのではないでしょうか。しかし、場合によっては確定申告することで源泉徴収された所得税の還付を受けられることがあります。 本記事では、退職金2000万円で3月末に退職した人を例に、退職金にかかる所得税の計算方法、どういった場合に確定申告で所得税が還付されるのかについて解説しますので、ぜひ参考にしてください。 ▼定年退職時に、「1000万円」以上の貯蓄がある割合は日本でどれくらい?
退職金から源泉徴収される所得税はいくら?
退職金にかかる所得税の計算方法を確認しましょう。まず、「(退職金の額-退職所得控除額)×1/2」で算出される退職所得金額を計算します。退職所得控除額は、勤続20年を境にして計算式が変わるのが大きな特徴です(図表1)。 図表1
国税庁 退職金と税 退職所得控除額 次に、算出した退職所得金額に応じて決まっている図表2の税率を掛け、そこからさらに控除額を差し引きます。「退職所得金額×税率-控除額」の計算式で所得税額が決まります(実際には税額の2.1%が復興特別所得税として上乗せされますが、ここでは省略します)。 図表2
国税庁 退職金と税 令和5年分所得税の税額表(求める税額=A×B-C) 実際に計算してみます。例えば、勤続30年で退職金2000万円の場合、退職所得金額は退職金2000万円から「800万円+70万円×(30年-20年)」で算出される退職所得控除額「1500万円」を差し引き、さらに1/2を掛け合わせるので「(2000万円-1500万円)×1/2」で「250万円」となります。 この場合、図表2に照らし合わせると、税率10%、控除額9万7500円となるため、源泉徴収額は「250万円×0.1-9万7500円」で「15万2500円」です。「退職所得の受給に関する申告書」を勤め先に提出している人は、所得税分としてこの金額が源泉徴収されます。