本塁打は52年ぶりの10本以下!?ヒット数も激減…それでも夏の甲子園が面白い理由
第106回全国高校野球選手権大会(阪神甲子園球場)が23日の決勝で幕を閉じる。京都国際(京都)と関東一(東東京)。どちらが優勝しても初となり、熱戦が予想される。 【トーナメント表】夏の甲子園 準決勝までの結果一覧 まだ全日程が終わっていないが、今大会の安打数を数えてみた。新基準のバットが採用されて初めて行われた夏の大会で、安打数に変化があったのか、調べてみた。 準決勝までで、総安打数は779本。過去3年は2021年が791本、2022年が950本、2023年が919本。過去2年からは激減している。23日の決勝で両チーム合わせて12安打が出れば、3年前に並ぶが、2021年はコロナ感染の影響で出場辞退したチームが2チームでて、不戦勝扱いが2試合あった。この分少ないことを考えれば、今年はやはり減っているといわざるを得ない。 安打数以上に影響が顕著なのが、長打だ。過去3年の長打数を比べてみた。 2021年 二塁打115本、三塁打29本、本塁打36本 2022年 二塁打149本、三塁打39本、本塁打28本 2023年 二塁打142本、三塁打19本、本塁打23本 2024年 二塁打87本、三塁打19本、本塁打7本 (※2024年は決勝戦以外の47試合分) 本塁打は「大激減」し、二塁打も大幅に落ち込んだ。やはり新基準のバットの影響が大きいと思われる。三塁打は昨年と変わっていないが、外野守備のポジションがやや前になっている関係もあると考えられる。 決勝戦でも本塁打が出ず、大会で7本塁打となれば、29試合しかなかった1972年以来となる。翌1973年から昨年までは、2ケタ本塁打が飛び出していたが、今年は52年ぶりに1ケタに戻ることになる。金属バットが採用されたのは1974年で、その年は11本。今年は金属バットでは最少の本塁打数となる。センバツでも金属バット導入後最少となる3本だったが、その傾向は、やはり夏も同じだった。 今大会で最も快進撃を見せ、高校野球ファンを魅了した大社(島根)は、4試合を戦い35安打を放ったが、長打は二塁打2本だけだった。しかもその2本とも、敗れた準々決勝の神村学園戦で出たもの。つまり、それまでの3試合、長打なしで「快進撃」を続けたことになる。ファンの胸を打ったのは、決して派手な打撃ではなかったのだ。 高校野球が変わっていく。野球をする側も、見る側も、その変化を実感していくことになりそうだ。