セブンがガチで買収提案される「日本のヤバい現実」…次に狙われる「お買い得」な大企業はどこか?
■①資生堂をロレアルないしはP&Gが狙う 資生堂は時価総額1.4兆円(2024年8月19日時点、以下同じ)です。日本を代表する化粧品ブランドであると同時に、中国・アジア市場で非常に強いブランド力を持っています。 資生堂はコロナ禍前の2019年までは経営が好調だったのですが、それ以降、大きく業績を下げ、株価が低迷しています。そのため経営陣は中国市場の中低価格帯の化粧品ブランドを売却したり、日用品部門を別会社化したうえでやはり売却したりと、戦略は縮小均衡傾向にあります。かつて人気だったシャンプーの「TSUBAKI」もすでに資生堂の手を離れています。
結果としてハイエンドの化粧品ブランドが資生堂を支えている構造ですが、この構造はロレアルやP&Gといった海外の化粧品大手にとっては魅力的な構造ではないでしょうか。 外資にとっては円安でドル建ての企業価値が激安になっていることに加えて、中国経済の不況で資生堂の中国事業が当面うまくいかないだろうという状況が追い風になります。当面安い状態が続くので買収しやすいのです。そしてうまく資生堂を買収できれば、中国経済の回復とともに資生堂の価値は回復し十分なリターンが得られると考えるのです。
このように足元の業績がふるわず株価が低迷する一方で、グローバル市場に通用する商品をもっている企業は、これから買収リスクが本格化すると思われます。 ■②ゼンショーをヤム・ブランズが狙う さて、足元で業績が絶好調の日本企業に買収リスクが突如表面化するケースもこれからは出てくるかもしれません。 ゼンショーは日本の外食企業の勝ち組で時価総額は1.1兆円です。すき家、はま寿司、ココス、なか卯などの外食業態が国内では有名ですが、実は店舗数は海外のほうが多いのです。
なかでも成長が著しい領域がふたつあります。すき家を中心とするグローバル牛丼ビジネスはアジア・中国で大いに成長しています。一方でグローバルな寿司ビジネスも好調で、買収を重ねた結果、欧米の持ち帰り寿司部門が大きな経営の柱になっています。このアジアでの成長と、欧米の寿司の成長は、どちらもグローバル外食大手にとっては魅力です。 グローバル外食の大手企業というと上位3社はスターバックスコーヒー、マクドナルド、サブウェイのように圧倒的なブランド業態で拡大してきた企業です。これらの会社にとってはゼンショーは興味の対象外かもしれません。しかし外食のグローバル4位に位置するヤム・ブランズにとってはゼンショーは違って見えるでしょう。