日本版GPS「みちびき」11基体制に拡充、ロケット年30機打ち上げ…宇宙基本計画の工程表改訂
政府の宇宙開発戦略本部(本部長・石破首相)は24日、宇宙基本計画の工程表を改訂し、日本版の全地球測位システム(GPS)と呼ばれる測位衛星「みちびき」を将来的に計11基体制に拡充するなど、新たな目標を盛り込んだ。
内閣府が整備を進めているみちびきは、現在4基で運用されている。ただ、現状では、米国が運用するGPSの測位データがなければ高精度な位置情報が取得できない。このため政府は、日本独自の衛星網だけで位置情報を取得できる7基体制での運用を目指している。
宇宙政策の達成時期などを記した工程表は、国際情勢などに応じて毎年末に改訂されている。今年の改訂では、衛星の故障などに備え、将来的に11基体制での運用を目指し、みちびきの開発を進めると明記。設計寿命が迫っている3号機の後継機と、新たに開発する8号機を2031年度に打ち上げる計画を盛り込んだ。
また、29年に地球へ最接近する小惑星「アポフィス」の国際探査への参加を検討するとした目標も追加。地球に衝突しそうな小天体に探査機をぶつけて軌道を変える「プラネタリー・ディフェンス(地球防衛)」の研究を進める方針を示した。
一方、ロケットについては、民間が開発したロケットと合わせて、30年代前半までに官民で年間30機ほどの打ち上げを目指すとした目標を盛り込んだ。
石破首相は首相官邸で開かれた同戦略本部の会合で、「宇宙分野の活動は、様々な産業や国民生活に恩恵を与えている。熾烈な国際競争の中で、世界に後れを取ってはならない」と話した。