「ラーメン二郎の顧問弁護士」という仕事 「儲からないフランチャイズ」「インスパイアに勝訴」成功支えた"黒子"の告白
●弁護士になった経緯
金子弁護士が山田さんと出会うきっかけにもなった慶應義塾大学への進学は、高校3年間打ち込んだ柔道を体育会系の部活で続けるためだった。 レギュラーとして東京、全日本の柔道大会で活躍。早慶戦で優秀選手賞を得ながらも、柔道の世界には上がいた。「私は一流の下か二流の上くらいなんです。一流になりきれませんでした」 柔道で完全燃焼できなかった悔しさをバネに、自らの力を試す場を司法試験に求め、創部百十数年の歴史で初めて司法試験に合格した。 今では二郎の顧問だけでなく、企業法務にも注力し、京王電鉄の社外役員をつとめる。弁護士として民暴対策に30年以上取り組み続け、暴力団の被害救済活動に汗を流してきた。 こうした弁護士の活動にも、ラーメン二郎顧問弁護士として得た経験が生かされているという。 「問題解決のスタンスとしては、どちらか一方が正しく、一方が悪いということはなかなかありません。こちらの痛みもわかれば、相手方の弱みもわかる。弱みがわかれば、どういう調整が必要かわかる。これはラーメン二郎の仕事で学んだと思います」 70歳になった今も二郎を食べ続けている。弁護士仲間らと「ラーメン二郎を食べる会」を年に3回ほど主催しているそうだ。 「食べ切れないので、小盛より小さいものを出してもらっています。でも、親父さんは私が学生として出入りしていた頃の記憶が強い。今でも勝手に大豚ダブルの野菜マシを出そうとしてきます。年齢を考えてほしいです(笑)」 金子弁護士が慶應義塾の大学院で学ぶ中で、後輩が三田本店でやらかした"粗相"を収める形で、山田さんと知り合った。このような形で「同志」を得られた弁護士も珍しいのかもしれない。 【取材協力弁護士】 金子 正志(かねこ・まさし)弁護士 慶應義塾大学院法学研究科修士課程修了、1986年4月弁護士登録、東京弁護士会所属。職務適正化委員会の委員長として弁護士の不祥事にも目を光らせている。 事務所名 :金子正志法律事務所
弁護士ドットコムニュース編集部・塚田賢慎