米大統領選最終盤 トランプ氏優勢、数字のウラに「隠れ支持者」も ハリス氏、激戦7州で勢いに陰り 石破首相の「もしトラ」対応に大不安
RCPは23日、トランプ氏が「激戦州で接戦を制する結果、全体ではミニ雪崩現象が起きるのではないか」という専門家の見通しを報じた。
激戦州での両者の差は0・5%から2・5%程度と誤差の範囲内だが、16年と20年の大統領選では「トランプ氏の支持が過小評価されていた」というブルッキングス研究所の報告もある。
世論調査に対して、「トランプ支持」と答えたくない「隠れトランプ」の層が数字に反映されにくいためだ。そうだとすると、実際はもっと支持が多い可能性もある。
数々のスキャンダル報道にもかかわらず、トランプ氏が支持を集める理由は何か。
■石破首相「アジア版NATO」「日米地位協定の改定」で厳しい立場
米国の報道を見る限り、私は「トランプ氏を好きなわけではないが、不法移民の流入やインフレはもっと困る」という有権者が多いからだ、とみる。有権者は醜聞よりも、もっと身近で切実な問題に不安を感じているのである。
いまの米国は、候補者の資質にかまっていられないほど、国内の脅威が現実になりつつある、と言ってもいい。実際、不法移民はバイデン政権下で急増した。ハリス陣営も実態を無視できず、移民対策の強化を打ち出しているが、トランプ氏の政権批判には対抗できていない。
インフレも大きな要素だ。
米国滞在中の私は、ほとんど外食しているが、ファストフードの韓国料理でも1回4000円ほどかかる。流通大手は祝日に格安の食事セットを提供するテレビ・コマーシャルを流している。
富豪が経営する米紙ワシントン・ポストやロサンゼルス・タイムズは最近、異例にも「支持候補なし」の方針を打ち出し、ハリス陣営を支持してきた編集者が辞職する騒ぎが起きた。トランプ優勢を見極めた結果かもしれない。
もしも、トランプ氏が勝利すれば、自民党総裁選で「アジア版NATO(北大西洋条約機構)の創設」や、「日米地位協定の改定」を訴えた石破首相は難しい立場に立たされる。