まつたけで「気」と「血」を補って滋養強壮に威力を発揮【健康長寿に役立つ高齢薬膳】
【健康長寿に役立つ高齢薬膳】まつたけ しっかり休んでいるのに、疲れがとれない。動く気力が出ない……。 新米がおいしい季節 …「太らない」ごはんの食べ方 病院で検査を行っても、とくに異常が見つからない場合は、「慢性疲労症候群」の可能性があるかもしれません。十分に休養しているにも関わらず、日常生活に差し支えるほどの疲労感が6カ月以上継続、あるいは再発を繰り返す疾患です。仕事など疲労の原因がないのに、強い倦怠感が見られるのが大きな特徴です。 微熱を伴うことが多く、解熱剤を服用してもあまり効き目がない傾向があります。また、頭痛、喉の痛み、全身や特定の部位に筋肉痛が生じるケースもあります。精神面においても不調が現れることが多く、気分の落ち込みが続いたり、意欲の低下、不安感、思考力・集中力の低下、物忘れがひどいといった場合もあります。そのほか、不眠あるいは過眠を繰り返すケースも多く見られます。 原因は不明な部分が多く、調査や研究が進められていますが、風邪や気管支炎などの感染症後に現れることが多く、ウイルスの影響があると考えられています。また、ストレスも引き金になるケースが多いとされています。 シニアにとって、体力の著しい低下は寝たきりや認知症のリスクを高める原因になる可能性があります。食養生で対策を講じましょう。 中医学において、慢性疲労症候群は「気血両虚」、読んで字のごとく「気」も「血」も足りない状態であることが多いと考えます。気は全身のいたるところを流れる、目には見えないエネルギーです。生命活動を維持するとともに、体全体、そして臓器を正常に活動させる働きを持っています。 一方、血は西洋医学の血液としての要素だけではなく、「全身に流れて、体の隅々まで栄養を与える液体」と考えます。五臓六腑や筋肉を養い、生理機能を正常に保ち、目、皮膚、髪を滋養しています。 活力の源である気と、体の栄養分である血がどちらも不足しているとなれば、当然ながら体力の低下を引き起こします。日頃から、だるい、疲れやすい、無気力、胃が弱い、目まい、立ちくらみ、動悸がする、やたら横になりたがるといった症状も見られがちです。また、低血圧の人も多い傾向があります。 改善のためには、気と血を補うことが重要です。おすすめは「まつたけ」。キノコ類はいずれも速やかに気を補い、消化機能と関わりの深い臓器である「脾」の働きも高めて、栄養を取り込みやすい身体にするサポートを行う働きがあります。まつたけは、この効能に加えて、血を補う効果も兼ね備えた「スーパーきのこ」。滋養強壮に威力を発揮してくれるのです。 最近ではリーズナブルな輸入ものも多く、シーズン後半となるいまの時期は、比較的お手頃な価格で店頭に並びます。ぜひパワーアップのために取り入れてみましょう。 まつたけの慢性疲労症候群を改善する効果を高めるためには、同じく気を補う働きのある鶏肉、ナガイモ、卵、そして血を補う効果のあるニンジン、クコの実を組み合わせるとよいでしょう。 ■まつたけ高齢薬膳レシピ まつたけのパワーアップ雑炊 滋養強壮によいまつたけに、気を補う鶏肉、ナガイモ、卵と、血を補うニンジン、クコの実を組み合わせたレシピ。ふくよかな香りいっぱいの雑炊です。クコの実のほんのりした甘みが、まつたけの旨みに相性バツグンです。 【材料】2人分 ●まつたけ 1本 ●鶏むね肉 100g ●ニンジン 1/4本 ●ナガイモ 4センチ ●クコの実 大さじ1 ●生卵 1個 ●細ネギ 適量 ●だし汁 2.5カップ ●ごはん 茶碗2杯分 ●しょうゆ 大さじ1/2 ●塩・こしょう 適量 【作り方】 鍋にだし汁としょうゆを入れ、ひと口大に切った鶏むね肉を入れて沸騰したらアクをとり、いちょう切りにしたニンジン、ナガイモ、クコの実を入れて野菜に火が通るまで煮る。傘を薄切り、軸を裂いたまつたけ、ごはんを入れて2分ほど煮たら、塩・こしょうで味を調え、卵を溶いて加え、火を止める。器に盛り、小口切りにした細ネギを散らす。 (池田陽子/薬膳アテンダント・食文化ジャーナリスト)