JBC処分 亀田ジム消滅
そうなると亀田3兄弟が、国内でのボクシング活動を続けるためにはジム移籍しかないが、これについても「実績と信用のおけるジムでないと認めない」と厳しい態度で臨む。いわゆる過去に多く世界チャンピオンを輩出してきた名門と呼ばれるジムへの移籍しか、許可しない方針で、小さいジムを“借り住まい”にするような抜け道も許さない。 浦谷信彰事務局長代理は、「亀田3兄弟という立派な世界チャンピオンのボクシング活動を止めようとは考えていません」と言うが、亀田ジムを実質、運営してきた亀田史郎氏が、3兄弟のボクシング活動から完全に離れることは、まず考えられず、亀田ジム及び3兄弟が、名門ジムに受け入れられない限り、事実上、日本ボクシング界からの永久追放処分となった。 ただ、JBCが管轄しない海外でのボクシング活動だけは自由。亀田和毅も、メキシコを主戦場としてきたし、WBO王座は海外のリングで獲得した。興毅も韓国でWBA世界バンタム級王座の防衛戦を行うなど海外リングでの活動実績がある。今後は海外リングに活動の場を求めていくしかない。 ただ、これまで亀田3兄弟の試合を独占放映してきたTBSも、これだけの厳しい処分が決まった以上、今後は、亀田戦の放映については撤退の方向で検討されており、ビジネス的には厳しい状況に追い込まれそうだ。 当初から、ライセンス剥奪処分を想定していた亀田陣営は、北村晴男弁護士を立て、法廷闘争の準備に入っている。まずは、JBCに再審議を要請し、処分が覆られない場合は、不当処分であることを提訴、名誉毀損や新ジムが被る損害賠償請求などの民事訴訟も行うと考えられる。だが、JBCは、「言った」、「言わない」、「知っていたか」、「知っていなかった」の論争ではなく、ライセンスを交付するに値する職責を全うしたかどうか、亀田ジムに健全なガバナンスがあるかどうかという点を今回の処分の理由にしており、法廷闘争によって、逆転、亀田ジムに国内での活動チャンスが復活することは難しいだろう。
またJBCは、これらの亀田問題の再発防止のため、統一戦におけるガイドラインなどの設定や、これらの問題が起きた場合において、対応できるような「JBCルール」の改正を行う考えであることも、明らかにした。 秋山理事長は、「我々に、現段階で不備はなかったと認識している」と、コメントしたが、ルール・ミーティングにおいて、王座保持の問題についての確認を怠るなどの、不備があったことも明らか。これだけの厳しい処分で、権威を回復しようとするならば、同時に組織の見直しも、進めなければ意味がない。 (文責・本郷陽一/論スポ、アスリートジャーナル)