「リーチさんの喜んでる顔を見たい」リーチマイケル35歳が後輩たちに慕われまくる理由…キャプテン拒否から一転「ビールをたくさん飲ませ…」
まるで「こけし」だった。 5月26日に行われたNTTリーグワンプレーオフ決勝、トップリーグの東芝時代以来14季ぶりの優勝を飾り、表彰式が終わって間もなく始まった、ブレイブルーパス東京の歓喜の胴上げ。トッド・ブラックアダーHCに続いて選手たちの輪に招き入れられたリーチマイケルは、両腕を身体にぴったり沿わせ、全身を一本の棒のごとく固めた姿勢のまま、3度、宙を舞った。 【画像】めっちゃ若い…!! 国立で涙する13年前のマイケル・リーチを見る!「コレが現役最後の肉体かよ…」鍛え抜かれた肉体美“堀江翔太のハダカ”も 「(胴上げは)人生で初めて。とりあえず考えたのは、しっかり体幹を固めておこう、ということだけ」 試合後の記者会見で、謎の姿勢について問われると、リーチは苦笑してそう答えた。それについては考えていなかった、と言いたげな表情だった。
実は緊張していたリーチ
「人生で1回も優勝していないから、1回でいいから優勝したい」 これは優勝会見のほぼ24時間前、同じ場所で開かれた決勝前日会見でのリーチの言葉だ。ワイルドナイツのロビー・ディーンズ監督、坂手淳史主将、ブレイブルーパスのブラックアダーHCと同席した会見で、リーチは控えめな言葉を並べた。 「僕らは明日もアンダードッグ。僕が入ってから、東芝は調子がいいときも悪いときもあったけど、パナはいつも良くて最後は必ずパナが勝った。でも明日は、僕らが必ず勝つというマインドセットを持って臨みたい」 それまでの優勝経験は「高校時代の全道大会と関東大学リーグ戦くらい」。東海大3年のときは大学選手権決勝で帝京大に1点差で敗れ、東芝入り後も2015年度トップリーグ決勝でパナソニックを追いつめながら1点差で敗れた。それを最後に東芝は低迷期を迎え、決勝に勝ち残れないシーズンが続いた。 迎えた14年目のシーズン。35歳のリーチが主将に戻ったブレイブルーパスにはオールブラックスの司令塔リッチー・モウンガが加わり、着実に勝利を重ねた。そして迎えたワイルドナイツとの決勝。初の優勝に挑む決戦を前に、いくつもの修羅場をくぐってきたリーチでも平常心を保つのは難しかった。 決勝の2日前、府中グラウンドでの公開練習後には「ワクワク感と緊張感が半々です」と心境を明かした。 「緊張しないようにしたい。でも緊張しますね(笑)。代表のときとも違う」 そんなリーチの心を救ったのはふたつの要因だった。 ひとつはブラックアダーHCからの絶対的な信頼だ。 優勝決定後の会見でトッドは「勝因は、リーチを主将にしたことです」と笑った。HC就任5年目。それ以前にもリーチに主将就任を要請したが、リーチは「自分のプレーに集中したい」と断り続けてきた。だがトッドは今季を迎える前に、これまで以上に強く主将受諾を迫った。 「ビールをたくさん飲ませて、最後は『やります』と言わせたよ(笑)」 そこまでして主将を引き受けさせたのはなぜか。 「リーチはこの組織の全員に信頼されている。自分の背中で引っ張ることができる。常に最前線で身体を張っている。東芝というチームに対する強い思い、勝ちたいという強い思いを持っている。そして、周りの選手と良い関係性を持っている」 そして、トッドの期待通り、主将に就任したリーチは、就任を渋っていたのが嘘のようにアグレッシブに行動した。 チームに足りないと思ったことは遠慮せずに指摘した一方で、若い選手には常にポジティブな言葉をかけ続けた。練習量が多くて選手が疲弊していると感じれば、練習量のボリュームダウンをコーチ陣に進言した。選手にもコーチングスタッフにも遠慮せずに接した。それは今季を戦うブレイブルーパスのスタンダードになっていった。
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