香港、岐路に立つ独立系書店 「中国化」圧力で閉店も
中国の統制が強まる香港で個人経営の「独立系書店」が岐路に立たされている。公立図書館や大手書店の「中国化」が進み、政府に批判的な民主派寄りの書籍が消える中、自由な文化空間を求める市民のよりどころとして奮闘してきた。だが3月には国家安全条例が施行され、言論の自由はさらに後退。政府の圧力で閉店する店も出始めた。 地元メディアによると、香港の独立系書店は推計約90店。2020年の香港国家安全維持法(国安法)施行後も40店余りが新規オープンし、自由な思想空間を守ろうと「雨後のたけのこ」のように増えた。 九竜地区の繁華街の雑居ビルにある「留下書舎」もその一つ。元記者らが22年5月に開業し、ジャーナリズム関連の書籍のほか、民主派の公判を記した法廷新聞も販売する。店名には「香港の記録を残す」との思いを込めた。 「国家の安全」を重視する中国の習近平指導部に忠実な香港政府は民主派が集う独立系書店への監視を強める。昨年12月の15日間で、税務局など6部門から計10回の訪問を受けたケースもあった。