対中抑止・対中戦勝利に向け、本気で準備を進める米インド太平洋軍
外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が1月26日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。ハワイで行われたシンポジウム「インド太平洋での作戦統合」について解説した。
中国の脅威に本気で対峙する米インド太平洋軍
飯田)中国や日本を取り囲む東アジア情勢を考えると、今月(1月)には台湾総統選がありました。 宮家)順当な結果になったと思います。 飯田)頼清徳さんが当選しました。 宮家)そのあと私は、ホノルルのシンクタンクによる「インド太平洋での作戦統合」というシンポジウムがあったので、ハワイに行きました。アメリカのインド太平洋軍司令部はホノルルにありますが、同軍司令官以下、幹部が出てきていろいろ話すというので、かぶりつきで聞こうと思って行ったわけです。彼らの発言や論文を字で読むのと、実際に行って勢いや語気や情熱を聞くのは、ずいぶん違うなと思いました。 飯田)現地で聞いて。 宮家)アキリーノ司令官は本当にエネルギーがありましたね。アメリカの軍人でも、地域軍の司令官を務めるような人は相当レベルが高いですから。彼の基調講演を聞いていて、「この人は本気だな」と思いました。中国の強力な台頭に対し、「何かしなければいけない」という気持ちは米軍内に前からありましたが、「やらなければ」だけではダメです。具体的に何をするか、どういう方向に進むか、そのために何が必要なのか、そのときアメリカ議会は何をするべきか、アメリカの防衛産業・国防産業は何をするべきか、同盟国は何をするべきかをすべて考えているわけです。 飯田)具体的に計画する。 宮家)要するに、いままでの戦い方ではダメだということ。まずよく考え、すぐに行動して、作戦に移る。これを瞬時にやらなければいけない。それを彼らは「意思決定上の優位」と言っています。
武器を早い段階で生産・調達しなければならない
宮家)要するに「相手より早く相手を見つけ、早く攻撃を決定して、早く行動に移さないと負ける」ということです。そのためには十分な国防予算が必要です。武器をオーダーしても、今回のウクライナ戦争を見てもわかる通り、消耗戦になる可能性がある。そうすると弾がなくなるわけです。だから迅速に生産・調達できなければいけない。 飯田)そうですね。 宮家)さらには、同盟国が同じような武器を持つことで相互運用性が高まり、同時に統合作戦もできる。そうすれば近くにある、あの大きな国を抑止できるという話でした。インド太平洋軍の改革についていろいろ話は聞いていたし、その方向で動いているのはわかっていたけれど、「こもは本気だ」と思えたのが、今回のいちばん大きな成果でした。