「世界紛争引き起こす」 プーチン氏、西側供与の武器を使ったロシア領攻撃容認論を強くけん制
ロシアのプーチン大統領は28日、欧州の北大西洋条約機構(NATO)加盟国が西側兵器によるロシア領内攻撃を容認する姿勢を示しているのは火遊びだと警告した。ウズベキスタンを訪問中の同大統領は、そうした攻撃があれば、世界的な紛争の引き金になりかねないと述べた。 プーチン氏は、NATO加盟国の多くが国土が狭く、人口が密集していると指摘。「ロシア領内の奥深くを攻撃することを議論する前に心に留めておくべきだ」とけん制した。 NATOのストルテンベルク事務総長は英誌エコノミストに対し、ウクライナが西側から供与された武器でロシア領内を攻撃することを同盟国は容認すべきとの考えを示し、一部加盟国もこの立場を支持した。 マクロン仏大統領は28日、次のように述べた。「われわれは彼ら(ウクライナ)に、『あなた方に武器を供給するが、あなた方は身を守れない』と言っている。ミサイルを発射した軍事施設を無力化することを認めるべきだと考える」 ドイツのショルツ首相は、マクロン大統領に同意し、ウクライナが国際法に従い、武器を提供した国々から与えられた条件を尊重する限り、自国を守ることは許されると述べた。 外交関係者は、第2次大戦以降欧州で最も多くの犠牲を出した戦争は、これまでで最も危険な段階にエスカレートしていると話す。 ウクライナのゼレンスキー大統領は、西側がロシアに反撃するための十分な軍事支援を行っていないと指摘。また西側から提供された武器を使ってロシアのミサイル基地を攻撃することを禁止していることを非難した。 ロシアはこのところ前進を続けており、ウクライナに何千億ドルもの援助や武器、情報を提供してきた西側諸国の間で、これ以上何ができるのかという新たな議論を引き起こしている。 米国は現時点で、欧州諸国ほど踏み込んだ発言は控えている。 カービー米大統領補佐官(広報担当) 「ゼレンスキー大統領がこの件に関心を示していることは承知している。現時点で我々の政策に変更はない。われわれは、米国が提供した兵器でロシア国内への攻撃を奨励したり、容認することはない」 ロシア当局者によれば、ウクライナがロシアの都市や石油精製所のほか、最近では核早期警戒システムの関連施設までも攻撃したことで、ロシア当局の忍耐は限界に来ているという。