伊吹文明氏と輿石東氏が直言!政治とカネ、揺らぐ岸田総理の政権運営、そして今後の政局
自民党内から総裁批判噴出。岸田・麻生・茂木各氏の関係は
竹俣紅キャスター: 岸田総理は1月18日に自民党の派閥とカネを巡る問題を受けて自身の派閥・岸田派の解散を表明。2月29日に衆議院の政治倫理審査会の初日に出席。5月31日、政治資金規正法の改正をめぐり公明党の山口代表・維新の馬場代表と会談し、両党は自民党の再修正案に合意。6月21日には会見で電気・ガス料金補助再開を表明。岸田総理はこれらを独断専行的に行っていると言われるが。 伊吹文明 元衆院議長: 党としてのガバナンスがしっかりしていれば、総裁の指示・依頼を受けて執行部が動き、派閥があれば派閥を通じて各議員に伝達されるのが従来の自民党。独断専行なのか、独断専行をせざるを得ない状況なのか。岸田さんには、防衛費の増額や賃上げなど政策的にはしっかりやっているが清和会の問題(安倍派の政治資金問題)に足を引っ張られ非常に不本意だという気持ちがあるのでは。また、側近の中に意思疎通における潤滑油のような人がいないこともある。だが、常に世論に対してその場をどう切り抜けるかという決断で、これには感心しない。 輿石東 元参院副議長: ご指摘のように、独断専行せざるを得ない状況に逆に追い込まれ、ガバナンスも効いていなかった結果では。むしろ岸田さんは気の毒だと感じる。 竹俣紅キャスター: 伊吹さんと輿石さんは過去に党の幹事長職を経験された。2024年上半期における自民党の幹事長の動きをどう見たか。 輿石東 元参院副議長: スムーズに連絡・調整できていないのでは。そして麻生派・茂木派から若い人が声をあげている。 反町理キャスター: 麻生さんが自身の派閥所属の斎藤洋明衆院議員のパーティーで「将来に禍根を残すような改革だけはやってはいけない」と発言、斎藤議員は「リーダーの責任も大いに議論されるべき」。茂木派の津島淳衆院議員は自民党の代議士会で「本来岸田総裁がこの場に来て挨拶すべき」と総裁批判。茂木派の東国幹衆院議員は「岸田さんは総裁選への出馬を思いとどまって、自民党の新しい扉を開く橋渡し役を」。 輿石東 元参院副議長: 3議員は派閥のトップの気持ちを忖度して発言したと見える。本当にいいことか。その前に、総理、麻生さん、茂木さんの3人で「心合わせ」ができなかったことにかなりの原因がある。 伊吹文明 元衆院議長: 私がご指導いただいた渡辺美智雄先生は「政策は政治の命。その実現には人間関係と、何よりも相互の信頼が必要。これを作るのは報告・連絡・相談。相談すれば反対される場合は少なくとも相談するふりだけはしておけ」と言われた。 反町理キャスター: さすがミッチーですね。 伊吹文明 元衆院議長: 今回も予め相談し、相手が「相談を受けてたからしょうがない、一生懸命やってみるか」とならないとダメだった。また、岸田さんは派閥を解消するときに自分の責任について述べるべきだった。党総裁として責任を取ることになると、今度は与党第一党の総裁が総理大臣になるという議院内閣制の趣旨に反するから身動きがとれない、しかし自分が一番責任を取るべき立場だという口上だけは述べた方がよかった。 輿石東 元参院副議長: 行政府のトップで最高権力者の総理が簡単に政倫審に出たり派閥解消と言うのはあまり適切ではない。まとめ役の幹事長にそういうメッセージを出してくれと言うことができなかったのか。