【シンガポール】製造業生産高8.5%上昇、5カ月連続プラス
シンガポール経済開発庁(EDB)が26日に発表した2024年11月の製造業生産高指数(19年=100、速報値)は127.5となり、前年同月から8.5%上昇した。2カ月連続で鈍化していた10月から伸びが拡大し、5カ月連続のプラスとなった。電子製品が好調だった。 24年11月の製造業生産高指数は、ボラティリティー(変動率)の高いバイオ医療を除くと前年同月比で13.0%上昇した。前月比(季節調整済み)では全体で0.4%低下だった。 全6分野のうち2分野で前年同月比プラスとなった。最も伸び率が高かったのは、比重が最も大きい電子製品で26.2%。前月の4.2%上昇から伸びが大幅に拡大した。半導体が28.8%、パソコン(PC)周辺機器・データストレージが23.6%とそれぞれ2桁上昇だった。情報通信・家電は8.7%上昇した。 精密エンジニアリングは0.6%上昇。前月の15.8%低下から大幅に回復した。機械・システムが半導体前工程装置の生産増により4.3%上昇したことが寄与した。 一方、バイオ医療は21.2%低下。医療技術は引き続き医療機器の輸出が好調で5.8%上昇したが、製薬が37.1%低下と不振だったことが響いた。 一般製造は2.6%低下。全ての項目でマイナスとなった。食品・飲料・たばこは飲料と粉ミルクの生産減で1.7%低下。その他は構造用金属製品と板紙製容器の生産減により3.7%低下した。 運輸エンジニアリングは1.8%、化学は1.1%それぞれ低下した。 UOB銀行のアソシエートエコノミスト、ジェスター・コー氏は、「製造業を含む貿易関連分野は、電子製品の回復により25年初頭まで成長を維持する。25年通年の見通しは依然不透明で、米トランプ次期大統領の政策による保護主義的措置や地政学的緊張の高まり、24年7~9月期にピークを迎えた韓国や台湾の電子業界のサイクル(好不況の波)のピークアウト、中央銀行による金融緩和ペースの不確実性などが下振れリスクとなる可能性がある」と説明した。