引退・ロッテ里崎が野村克也氏、古田敦也氏より優れていた知られざる記録
――里崎流リードで2005年は日本シリーズで阪神を下して日本一になりました。 「あのときは、バレンタイン監督から、初戦は金本さんの全打席、初球に、例えボールになろうがインサイドを行け!と指示を受けました。結局、そこを意識させることに成功して、長所も消せました。あのシリーズで金本さんは打っていないでしょ? 苦手なことは、自分自身が一番知っていますからね。でも、僕らは、2桁得点を連発しましたから。目立ってやろうと、手をつけられないくらいの勢いがチームにありました」 ――里崎さんは、特に打席に入った打者の立ち振る舞いを細かく観察していましたね。 「表現が難しいのですが、バッターには細かい影、シャドーが出ます。そこを見ます」 ――シャドー? 「何百回と同じ打者と対戦するわけですよね。すると、いつも決まった場所にいるのがわかってきます。でも、時折、そのシャドーからはみだすケースがあるんです。おい左肩が出ているぞ、どういうことや、足の踏み出す位置が違う? どういうことや?と。それを解釈しながら狙いや理由を読むんです。単なる気のせいかもしれないので、あとでビデオを見て確認します。すると、シャドーから出た場合の傾向が出てくるんです。そこを利用して攻めるんです。失敗する場合も成功する場合もありますが、それが感性です。そうやってシャドーを見ていくと、面白い選手、『何を考えているかわからんわあ』という打者とも巡り合います」 ――誰が『わからんわあ?』という打者だったのですか? 「西武から中日でプレーしている和田さん、日本ハム、巨人、今は、中日にいるガッツさん(小笠原)、稲葉さん、内川、糸井、西武からメジャーに行ったナカジ(中島)も面白かった。和田さんには、徹底して外中心のリードをしていて、たまたま1球だけいったインコースを打たれたことがあります。内川なんて、そこまで崩れながら、なんで打てるの? 意識どこにあんねん?と思う打席もありました。そういう答えのない答えを解明していくのが面白かったですね。野球は化かしあいですから」