引退・ロッテ里崎が野村克也氏、古田敦也氏より優れていた知られざる記録
――得意なコース、球種と、苦手なコース、球種でしょう? 「長所は、何も意識せずとも打てるところ、短所は意識すれば打てるところ。1軍のスタメンに名を連ねるプロは短所と言っても意識すれば打てるんです。でも意識をしないと打てないから、そこを意識すぎると反応で打てるはずの長所も消えてしまうんです。それが駆け引き。では、どのタイミングで、どこをどう攻めるか。そこが感性と経験なんです」 ーーなるほど。 「リードには3パターンあると考えていました。(上)(中)(下)の3パターンです」 ――簡単に教えて下さい。 「(下)は、相手や状況に関係なく、ピッチャーだけを中心にリードするパターン。ピッチャーの得意球、その日のいい球を引き出していくリードです。ピッチャーに制球力や信用のおけるボールがなく、そこにしか投げられないというレベルのピッチャーの場合のリードです。これをクリアできるレベルのピッチャーになってくると、次の(中)のリードになります。バッターの長所、短所を踏まえた駆け引きのできるリードになってきます。それもクリアできれば、次に(上)です。それは、短所、長所を考えた配球にプラスして状況に応じた結果を求めるリードです。ここは三振をとりたい、ここは絶対にゴロ、ここはフライという計算を立てたリードですね。ただピッチャーの力量が(下)であっても、できないのがわかっていて(中)のリードで勝負する場合はあります。信じてレベルをあえて上げる場合もあります」 ――面白いですね。 「(上)のリードを揃ってできたのが、2005年に日本一となったチームです。先発は、直(清水直行)さん、宏之(小林)、晋吾、(小野)さん、俊介(渡辺)、セラフィニがいて、後ろには、薮田さん、藤田さん、雅英(小林)さんがいる。10勝投手が6人です。全員が145キロ以上を投げていて、ベンチで『今日は148キロしか出んかった』『あそこの球場は150出ても反則や』って、150キロ出たかどうかの自慢話をしているんです。それに全員が全員、必殺技をひとつ持っていました。真吾さんならシュート、宏之は、スライダー、直さんならスプリットと。個性豊かな投手が揃っていました」