フランス市場の上昇は失速、楽観が後退-長期的リスクに関心移る
(ブルームバーグ): 6月30日行われたフランス国民議会(下院)選挙の第1回投票でマリーヌ・ルペン氏が実質的に率いる極右政党「国民連合(RN)」が決定的な勝利を収められず、1日のフランス金融市場には安心感が表れた。だが、楽観は急速に後退しつつある。
世論調査が示唆していたよりもRNの勝利が小幅で、決選投票でRNが単独過半数を確保する事態を防ぐべく競合政党が候補者の調整など戦略を練り始めたことを受け、フランスの株式と債券は大幅高で取引が開始された。
しかし、フランス株の指標であるCAC40株価指数は上げ幅を半分に削り、債券は下げに転じて利回りは上昇した。最終的に極右内閣が誕生するかもしれない混乱の中で、フランス資産の価格に大きな上昇余地があるのかどうか、トレーダーは疑問視している。
投資家が懸念しているのは、RNや左派連合「新人民戦線」の主導する新政府が財政拡張路線をとり、財政赤字が膨張する可能性だ。
JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル市場ストラテジスト、ビンセント・ユビンス氏は「自分にとってはまだ様子見だ」と説明。「市場の反応にはやや驚いていると言わざるを得ない。今後1週間の見通しが不透明であることを踏まえれば、反応は明らかに時期尚早だと思う。フランス経済とフランスの債務見通しにとって、両陣営の財政政策は破壊的だ」と語った。
CAC40は取引開始直後の数分間に2.8%高を付けたが、パリ時間午前11時27分時点では1.2%高と上げ幅を縮小。フランス債は下げに転じ、10年債利回りは4ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇した。それでもドイツ国債に対する上乗せ利回り(スプレッド)は一時7ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)縮小して73bpとなり、過去2週間に30bp余り拡大した分の一部を埋めた。
ユーロは0.6%上昇し1ユーロ=1.0776ドルと6月半ば以来の高値を付けたが、マクロン大統領が同月初めに総選挙実施を発表する以前の水準と比べると、依然として0.5%低い。