ムクドリにお手上げ 福島市中心部に大群居座り 追い払うと果樹に被害
街中から追い払っても果樹に被害が出る―。ムクドリの大群が福島市中心部に押し寄せている問題を巡り、市は対応に苦慮している。かつて追い払いを試みたが、果樹が食い荒らされた。気温の高さなどが影響し、市街地に居座る期間も延びている。ふんや鳴き声の騒音に悩む住民は解決を求めるが、関係者は抜本的な対策が見つからず「打つ手がない」と嘆く。 市内のムクドリ被害は20年ほどに及ぶ。市によると、一時はJR福島駅東口でも確認されたが、最近は福島市太田町方面をねぐらに6月から秋ごろにかけて1日当たり約6千羽が飛来するという。 市は2020(令和2)年9月、花火やスピーカーなどを使った大規模な追い払いを実施した。羽数が減るなど一定の効果はあったものの、その後、大笹生や瀬上町などの農家から梨やブドウの食害の報告が寄せられた。市は時期から考えて、市中心部から去ったムクドリが原因とみている。季節によっては、モモやリンゴなどに影響が出かねず、同様の対策には二の足を踏む。
さらに、ムクドリの居座りが長期化している。市によると、昨年は10月上旬に姿を見せなくなったが、今年は12月に入った今も上空を飛び回っている。5日夕には、各方面から集まった50羽ほどのムクドリの小さな群れが太田町周辺の上空で合流した。空を覆うほどの大群に膨らみ、「ビャービャー」とけたたましい鳴き声を上げながら葉が残ったケヤキの木にひしめくように降り立った。市内の50代女性は「鳴き声に恐怖を感じる」と不安げに空を見上げ、近くに住む会社員岡崎由修さん(23)は「歩道にふんが多く落ちている」と不快感をあらわにした。 同市でムクドリの追い払いを指導した信州大名誉教授の中村浩志さん(77)は「秋の気温が高かった影響でねぐらとなる木の落葉が遅れている。福島と同じことが全国でも起きている」と指摘。「ムクドリが集まる初期の数百羽の段階で徹底的に追い払い、市街地にねぐらをつくるのを諦めさせるなど習性を変えさせるしかない」と語った。