【少数民族勢力が武装蜂起】ミャンマーを分裂状態へと向かわせる黒幕は誰か
マンダレーに関するBrotherhoodの意図は明らかでない。明らかなことは、中国は自らが解き放ったMNDAAとTNLA力の封じ込めに手を焼いていることである。Brotherhoodが支配地域を拡大し、軍事政権の敗北が重なる状況では、彼等が元のパトロンである中国に従うインセンティブは少ない。 中国のBrotherhoodに対するグリップの弱まりおよびBrotherhoodの急速な進出は、西側諸国がミャンマーでより大きな役割を演ずる可能性を提供するかも知れない。Brotherhoodは、多様な民族グループに対する支配を正当化するために、民主派勢力との議論を開始した。多元主義のNUG(National Unity Government:軍事政権に対抗する民族横断的な民主派の機関)はより良く国民を代表している。 しかし、西側政府は、NUGに直接的に人道援助を提供することに後ろ向きである。その結果、NUGは解放された地域を統治するリソースを欠いている。 もし西側政府がNUGとの直接関与に前向きになれば、NUGは解放された地域の将来についてのBrotherhoodとの話し合いの際により多くの材料を持ち得るであろう。そのことはミャンマーにおける力のバランスを中国から西側にシフトさせる助けとなろう。 * * *
分裂状態に向かう引き金
ミャンマーの情勢がどのように動いているのかを見極めることは容易でないが、どうやら、国土の外縁の周辺地域は個々の有力少数民族がその支配を強固にする地域に分断され、しかも、その周辺地域は全体として残りの中央部と分断されるという分裂状態のミャンマーに向かっているように見える。そのようなミャンマーが連邦制に向かうはずもないが、他方、ミャンマーという国家が崩壊するという破滅的なことになるようでもない。 このような方向に劇的に情勢を動かす引き金となったのは、昨年10月に三つの少数民族の連合体であるBrotherhoodがシャン州で仕掛けた「10.27作戦」と称される攻勢である。なお、Brotherhoodを構成するのは次の少数民族の武装組織である。MNDAA=Myanmar National Democratic Alliance Army:コーカン族、TNLA=Ta’ang National Liberation Army,:タアン族、Arakan Army:ラカイン族。