「AIエージェント」の成功でセールスフォース株は史上最高値を更新なるか
生成AIは、単なるチャットボットから大きく進化しており、「空港でのレンタカーの予約の確認から、企業の営業現場における見込み客の選定」といった多様なタスクを実行できるAIエージェントの普及が進んでいると先日、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。 エマージェン・リサーチによれば、エージェント型AIの世界の収益は、2024年末までの1年間で310億ドル(約4兆7000億円)に達し、その後の数年間は年間32%の成長率で拡大する見込みだという。このテクノロジーは、セールスフォースのような企業向けソフトウェアのプロバイダーの業績を押し上げる可能性がある。また、AIエージェントは、2024年に株価を13%上昇させた同社の株価を史上最高値に押し上げるかもしれない。 セールスフォースは、9月にAgentforce(エージェントフォース)と呼ばれるAIエージェントを発表し、このサービスが顧客サービスやマーケティングキャンペーンなどの業務の自動化においてチャットボットを上回る能力を持つと主張したとWSJは報じた。セールスフォースによると、このツールは、営業現場の見込み客を事前に選別し、人間の担当者に代わって有望な顧客に連絡をとり、ミーティングの設定を行うことが可能だという。 ある顧客は、すでにAgentforceを使用して顧客サービスの生産性を向上させている。ミシガン州の機械製造業者、BACAシステムズの担当者は、このツールを使用して「人間のスタッフを増やすことなく、コールセンターへの問い合わせの増加に対処した」とWSJの取材に述べていた。 また、教育出版大手のWiley(ワイリー)も、Agentforceを用い、繁忙期にあたる新学期シーズンの顧客からの問い合わせ対応の40%以上を自動化した、とニュースサイトVentureBeatは報じた。 セールスフォースは、このサービスの普及について非常に楽観的で、同社のマーク・ベニオフCEOは、Fast Companyに掲載されたインタビューで、「来年中に10億以上のエージェントが稼働すると予測している」と語り、9月に開催した同社のカンファレンスのDreamforceでは1万人の顧客にAgentforceの操作を体験させたと付け加えた。 ■顧客に優しい課金モデル SaaSのプロバイダーは一般的に、顧客企業に従業員の数に基づいた料金を請求しているが、この課金モデルはマイクロソフトのCopilot(コパイロット)の顧客を苛立たせている。なぜなら、同社はこのチャットボットの法人顧客に1ユーザーあたり月額30ドルの追加料金を請求しており、一部の企業はこれを高すぎると見なしている。 これに対して、セールスフォースはAgentforceを、使用したときにだけ料金を請求するアプローチを採用している。WSJによるとこのツールのユーザーは、1回の会話や見込み客の選定に2ドルを支払うという。