「お客様は神様ですか？」11話より

販売の仕事で体験した出来事や日常で感じたことなどを漫画に描き、X(旧Twitter)やInstagramで発信しているタジマオオカ(@pu92yu)さん。店舗で働いているとさまざまなお客様や場面に遭遇するという。なかでも、顧客の優位な立場から従業員に対して言い掛かりや理不尽なクレーム、侮辱などをする迷惑行為「カスタマーハラスメント」(以降、カスハラ)について描いた漫画「かすはら物語」や「お客様に助けられた話」が大きな反響を呼んでいる。思わず「怖い」と身震いする場面も少なくなく、多くの共感の声が寄せられている。 【漫画】「お客様は神様ですか？」を読む ウォーカープラスでは「かすはら物語」をリメイクし、「お客様は神様ですか？」と題して連載中。タジマさんが実際に体験したカスハラや、販売員に対するお客様からの無理なクレームや言動に悩み、対応を考え続けた日々についてお届け。 今回は、タジマさんが銀行でカスハラに遭遇したときの話を、インタビューを交えながら紹介する。 ■カスハラ客は立場の違いで対応も変える？ ――今回は、タジマさんが銀行へ行かれたときに遭遇したカスハラシーンのお話ですね。スタッフに「郵便局どこ？」と尋ねるお客様がだんだんと激昂する様子が描かれていますが、そのときのスタッフや激昂するお客様、またその周辺にいる他のスタッフがどのような様子だったのか教えてください。 「応対していた女性は戸惑っていました。周囲に何名か銀行のスタッフがいましたが顔を逸らしたり距離をとっていて、周囲は静まり返ってました」 ――態度がエスカレートするお客様を見たタジマさんは、「お節介な人作戦だ！」とそのお客様とスタッフの間に入ります。さっきまで激昂していたお客様は、同じ「お客様」という立場であるタジマさんには笑顔で「ありがとうございます！」と言い、その豹変ぶりに驚きます。タジマさんはどのように感じましたか？ 「怒鳴っていたのは少し強面な人だったので、笑顔で『ありがとうございます』と言われたときは驚きました。その場での感想は驚いてホッとしたという感じです」 ――改めて「一部のお客様って従業員を下に見てるよね」「結局は一人一人のモラルの問題か…」と考えるタジマさんですが、これまでに“下に見られている”と感じたカスハラはありますか？ 「主には話し言葉です。お客様はごく自然に『おい』『持っていけ』『これ用意しろ』といった話し方をされますが、対等な関係ではこのような言葉づかいはあまりしないのではと感じています」 タジマさんは、銀行でカスハラを一人のスタッフに丸投げし、他のスタッフは見て見ぬ振りをする様子を見て、「本当にダメだな」と思い直されます。丸投げしてしまうスタッフはどのような気持ちで“見て見ぬ振り”をしていると思うか尋ねると、「誰でもトラブルの最中にわざわざ入っていきたくないと思います。ただそのトラブルに遭っているのは自分の同僚なので、申し訳ない気持ちを抱えながらというか…。平気で見て見ぬ振りをしているスタッフはいないと思っています」と話してくれた。 また銀行での出来事を機に、タジマさんはいよいよカスハラに関して上司に相談することを決意する。このときの心境をタジマさんは「これはいろいろなタイミングが重なっていました。今なら上司に分かってもらえるかもしれないと思い話すことにしました」と振り返る。