補償はいつ… 酒気帯び運転で道路脇の小屋に衝突、炎上 死亡米兵を書類送検 青森・三沢市の死傷事故
青森県三沢市で7月、道路脇の小屋に乗用車が突っ込み炎上し2人が死亡、1人が重傷を負った事故で、県警は12日、自動車運転処罰法違反(危険運転致死傷)と道交法違反(酒気帯び運転)の疑いで、運転していた米軍三沢基地所属で空軍兵の男=当時(19)=を被疑者死亡のまま青森地検八戸支部に書類送検した。 送検容疑は、7月14日午前4時10分ごろ、酒気を帯びた状態で乗用車を運転し、同市栄町1丁目の県道で40キロの制限速度を大幅に上回る制御困難なスピードで走行。緩やかな下りカーブを曲がりきれず道路脇の小屋に衝突し、車を炎上させ、助手席に乗っていた六ケ所村尾駮、会社員男性=当時(26)=を死亡させ、後部座席の会社員男性(20)に左大腿(だいたい)骨骨折などの重傷を負わせた疑い。 現場にブレーキ痕はなく、事故後、男の血液からは酒気帯び運転の基準値を上回るアルコールが検出されていた。 県警は、当時の車両の速度や検出されたアルコール値について明らかにしていない。過失運転致死傷よりも法定刑が重い危険運転致死傷容疑を適用した理由に関しては「所要の捜査を尽くした結果だ」としている。 ▼全焼の小屋「補償を」 所有男性 三沢市で7月、車が小屋に突っ込み炎上した事故で、小屋を所有する男性(81)が12日、取材に応じた。死亡した米兵=当時(19)=の書類送検に「一区切りついた」とする一方、小屋の復元が進んでいないため、米国側に補償を求めていく構えを示した。 事故で小屋は全焼。中にあった車も燃え、隣に立っている自宅の壁も焼けた。男性が工務店などから算定してもらったところ、被害額は全部で約2100万円に上ると分かった。ただ男性が加入する火災保険などの支払いは、約900万円が限度。小屋の建て直しや中にあった家財の弁償費用計1200万円が支払われるめどは、事故から約5カ月が過ぎても立っていない。 「事故発生時は明け方。自宅で寝ていた自分に過失はないのに…」と男性は嘆く。現在、被害弁償について東北防衛局三沢防衛事務所と相談を重ねている段階だ。訴訟は考えていないものの、「泣き寝入りはしたくない」と語気を強めた。 同局によると今回の事故は公務外で、賠償責任は加害者側が負う。示談が難しい場合は日米地位協定に基づき、米国政府が慰謝料を決め、被害者の同意を得て支払う制度がある。