クライアントとともに成長する
コーチとしてクライアントにチャレンジする
国際コーチング連盟のコーチングのコア・コンピテンシーの中に、次のような項目があります。 『コーチは、気づきや洞察を引き起こすひとつの方法として、あえてクライアント(の思考、感情、行動)にチャレンジしている(コンピテンシー7.2)』 今回の私は、フィードバックを通じてAさんの思考にチャレンジをしたと言えます。結果として、そのときのやりとりがAさんにとって内省のきっかけとなったことを、Aさん自身の口からお聞きすることができました。 過去にも同様にチャレンジしてきた体験はあります。しかし、相手の反応によっては及び腰になることもありました。 今回、Aさんの反応に対して逃げ腰にならず、コーチとして伝えるべきと信じたことを伝えられたのか。それは、Aさんが目指している先を共有できていたこと、そして、心からAさんにそこにたどり着いてほしいと思っていたことが大きいように思います。 これまでの私も、もちろんクライアントを最優先に考えて関わってきました。でも本気でチャレンジできず、リスクを避けたことがあったのも事実です。そう考えると、Aさんの存在は、私に本当の意味でのクライアント中心の関わりを教えてくれたように思います。クライアントの変化の前に、まずコーチが変化する必要がある。そのことを体験させてくれたAさんに、心から感謝の気持ちが湧いてきます。 コーチはクライアントとともに成長する。そのことを実感した経験でした。 あなたがクライアントに言いたくて言えていないことは何でしょうか? そこにあなたのコーチとしての成長のヒントがあるかもしれません。 (日本コーチ協会発行のメールマガジン『JCAコーチングニュース』より、許可を得て転載)
【著者】 立入啓浩 株式会社コーチ・エィ COACH A (Thailand) Co.,Ltd. (タイ現地法人) Managing Director 京都大学大学院工学研究科卒業。みずほコーポレート銀行(現みずほ銀行)に法人営業として入行、材料メーカーや食品商社等、約30社を担当。企業での法人営業及び学生時代の塾経営の経験から、組織全体の意識変革に向けてのコーチング活用に大きな可能性を感じ、コーチ・エィに入社。クライアント自らが「主体的に行動を起こす」ことを重要視し、最初の行動を踏み出すチャレンジを促すコーチングをモットーとしている。現在は、さまざまなジャンルの企業や組織の経営・管理層のマネジメント力・リーダーシップ開発に向けた1on1コーチングに加え、法人営業の経験を活かし、システミック・コーチングのプロジェクトマネージャーとしても複数の大型案件に関わっている。
立入啓浩(コーチ・エィ)