【速報】傷を治す『人工タンパク質』の販売目指す 京大などが開発 薬事承認されれば日本初の『遺伝子組み換え技術』を使った医療機器に
京都大学などは糖尿病などが原因で治りにくい傷の治療に効果がある人工タンパク質のスポンジについて来年度中の販売を目指すと発表しました。 薬事承認されれば、日本で初めての『遺伝子組み換え技術』を使った医療機器となります。 ■【動画で見る】傷を治す『人口タンパク質』販売目指す 糖尿病患者の『治らない傷』の治療に光 京大などが開発 京大医学部附属病院と三洋化成工業が共同開発し、治りにくい傷の治療に有効な医療機器として実用化を目指すと発表したのは、スポンジ型の人工タンパク質「シルクエラスチン」です。
■糖尿病などが原因「治りにくい傷」 高齢化で増加 細菌感染が課題
やけどや癌(がん)などで皮膚を切除した際にできる「難治性皮膚潰瘍(なんちせい ひふ かいよう)」は糖尿病などが原因で、治りにくい、または治らない傷です。 近年、糖尿病患者が増加していることや、高齢化と共にこの傷が治らない患者が増えていることが問題となっています。 これまでの治療では傷の潤いを保ちながら、毎日傷を洗い、軟膏(なんこう)をつけるなどしていましたが、細菌に感染しやすいことが課題でした。
■絹の原料のタンパク質などから開発 人工タンパク質「シルクエラスチン」
そこで、京大病院と三洋化成はカイコが作る繭(まゆ)に含まれる絹(シルク)の原料のタンパク質などから、遺伝子組み換え技術を用いて人工タンパク質「シルクエラスチン」を開発。
■「シルクエラスチン」のスポンジを傷に貼る 25人中23人で効果あり
スポンジ型に加工した「シルクエラスチン」を傷に貼り付けると、体液で溶けてゲル状になり細菌感染を抑えながら、傷を治す力を強くする効果があることが確認されました。 2018年には医師主導の下、行った治験で安全性を確認。 さらに2021年から去年まで、三洋化成の主導で行っていた治験では、患者の傷に「シルクエラスチン」を被せたところ、25人中23人で効果が見られ、高い有効性が確認できたということです。
■『組織全体の再生を促す』従来の考え方と異なるアプローチ やけど治療の効果も期待 管理しやすい点も特徴
京都大学医学部附属病院の森本尚樹 教授は7月1日の会見で、シルクエラスチンの特徴について「シルクエラスチンは組織全体の再生を促すものになっていますので、今までの考え方、菌を抑える、バイ菌を殺して傷をキレイにして治す、血流を良くするというものではなくて、組織の再生を促しているということになります」 「やけどの場合に『お湯がかかりました』『服に火がつきました』といった傷の浅いところ、深いところ、どちらもシルクエラスチンが使えるとか、そういう使い方ができるのかなと思っています」 「ある程度管理しやすく使用しやすいのかなと思っています」と語りました。
■来年度中の販売を目指す 薬事承認されれば日本初の『遺伝子組み換え技術』を使った医療機器
三洋化成はことし4月に、薬事承認申請を行っていて、来年度中の販売を目指すとしています。 薬事承認されれば、日本で初めての遺伝子組み換え技術を使った医療機器となります。
関西テレビ