前半、ラックから持ち出しそのままトライを挙げる京都工学院・押谷（中央）＝撮影・立川洋一郎

　「全国高校ラグビー・１回戦、京都工学院１１２－０聖光学院」（２７日、花園ラグビー場） 　１回戦９試合が行われ、４度の優勝を果たした伏見工が前身の京都工学院、秋田工、報徳学園（兵庫）、佐賀工などが勝って２回戦へ進んだ。９大会ぶりの出場となる京都工学院は聖光学院（福島）に１８トライを奪う猛攻で１１２－０で大勝。歴代最多７２度目出場の秋田工は高川学園（山口）に３５－２９で競り勝った。報徳学園は仙台育英（宮城）を５２－３で下した。能登半島地震の影響を受けた日本航空石川は鹿児島実に７３－８で勝った。２８日に１回戦の残り１０試合を実施。３０日の２回戦からは前回優勝の桐蔭学園（神奈川）などシード校が登場する。決勝は来年１月７日。 　花園に赤黒のジャージーを身にまとったフィフティーンが帰ってきた。ズラリと並んだ立ち見客が注目度の高さを物語る。伏見工からの校名変更後、初出場で大勝を飾った京都工学院が古豪復活の号砲を鳴らした。 　立ち上がりから圧巻だった。前半１０分までに３トライと怒濤（どとう）の攻撃で、前半だけで９トライを記録。後半はメンバーを大幅に入れ替えながらも攻撃の手を緩めず、選手層の厚さも際立った。「自分たちのやるべきことを、やり続けるようにと言った」とＯＢで２０００年優勝時に主将を務め、２０１９年から指揮を執る大島淳史監督（４２）。９大会ぶりの聖地で、伝統校にふさわしい貫禄を見せつけた。 　スコアはチーム史上最多得点となる１１２－０。１９７５年に伏見工監督に就任し、同校を常勝軍団に生まれ変わらせた山口良治総監督（８１）の初の公式戦は、花園高校に同スコアで敗れた（当時はトライ４点）。そこから全国優勝４度の名門となり、人気テレビドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデル校としても名をはせた。“１１２”から再び強豪の礎を築き上げていく。 　「１１２は歴史を見た時につながる点数。（校名が）工学院になっても、赤黒の魂を背負ってプレーしたい」と指揮官。スタンドでは山口氏から受け継がれてきた「信は力なり」の横断幕が揺れた。校名が変われど、伝統は揺るがない。伏見工の名の誇りを胸に、頂点へと駆け上がる。 　◆伏見工ラグビー部　１９７５年に元日本代表で活躍した山口良治氏が監督に就任。全国大会の常連になる強豪に成長した。“信は力なり”をモットーに平尾誠二らを擁して第６０回大会（１９８０年度）で全国大会初制覇を果たし、その後テレビドラマ『スクール☆ウォーズ』のモデルとなった。山口氏は９８年に総監督となり退任。１６年には統合により全日制過程が京都工学院となった。