独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 5台を乗り比べ(1) モデル名は空気抵抗係数から
1991年まで生産が続いた独創的なCX
独創的な容姿が記憶に残るシトロエンCXは、実は1991年まで生産されていた。これも驚くような事実だが、生産開始は約半世紀前だと知ると、さらに唸ってしまう。 【写真】独創的な「近未来」フォルム! シトロエンCX 先代のDSと後継のXM 最新C5 Xも (127枚) このCXは、シトロエンとしては最後となる、完全な独自設計のモデルだった。2024年に見ても近未来的なスタイリングは、デザイナーのロベール・オプロン氏の才能によるものだが、承認したシトロエンの先見の明にも疑う余地はない。 今回、英国編集部では、減少する一方のCXを5台揃えてみた。グレートブリテン島で走行可能な状態にある中では、いずれも最古参だと考えられる。1番目立つメタリック・ブルーのCX 2200スーパーは、1975年式。フィリップ・ハンソン氏がオーナーだ。 その当時、優れた英国車の1台に数えられていたのが、トライアンフ2500 S。デザイナーのジョヴァンニ・ミケロッティ氏が描き出したスタイリングは、1960年代の残り香を感じるものといえた。 ローバーは、モダンなSD1シリーズの発売を1976年に控えていた。だが、それよりひと足先に登場したCXは、曲線基調のシルエットで前輪駆動のシャシーを内包。2.2L直列4気筒エンジンは、同社初となる横向きでマウントされた。 サスペンションには、セルフレベリング機能付きの、ガスとオイルを利用したハイドロニューマチック・システムを採用。ダッシュボードには、回転するドラムの側面に数字が記された、通称「サイクロプスアイ」メーターが並んだ。
モデル名は空気抵抗係数を示すCd値から
CXは、1975年の欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞している。シトロエンのディーラーは、「今年を代表する1台ですが、今後数年間に渡って期待へ応えるベストなクルマです」と主張した。 シトロエンというブランドらしく、CXの開発はシンプルには進められなかった。プロジェクトLと銘打たれた次期モデルの設計は、1960年代後半にスタート。オプロンは、DS以上の大量生産が可能になるよう、デザインを検討した。 1970年になると、ランチアとシトロエンは協力関係へ。CXとガンマで技術共有するという計画が立ち上がるものの、関係が解消された1973年に消滅。経営難から脱却できず、1974年にプジョー傘下へ組み入れられている。 CXのデビューは、1974年8月。水面下でブランドは混乱状態にあったが、センセーショナルなモデルが見事に生み出された。当時最も空気力学的に優れたサルーンとして、空気抵抗係数を示すCd値のフランス語から、モデル名は決められている。 その頃の自動車雑誌、モーター誌は「史上最も美しい量産車の1つ」だと称賛。未来的なスタイリングは、シトロエン自体の未来を予見したように思えた。 2200 スーパーは、ぞれ以前の同社のモデルへ劣らない存在感を放っていた。全長はDSより短くても、コンパクトなエンジンルームによって、効率的なパッケージングを実現していた。