2世選手の宿命を背負う「レブロンの息子」ブロニー・ジェームズ、プロ1年目の奮闘
【偉大な父を持つ宿命と周囲の目】 近年、このブロニーほど大きな注目を集めたドラフト2巡指名選手はほかにいなかった。父親はプロ入り前から"選ばれし者(The Chosen One)"と呼称され、期待どおりにNBAファイナル制覇4度、シーズンMVP4度受賞したレジェンド。その息子という出自ゆえにブロニーの知名度も高く、USC(南カリフォルニア大)時代から一挙一動が注目され続けてきた。 「ラストネーム(苗字)がジェームズではなかったら、ブロニーはドラフト指名候補には入っていなかったはずだ」 6月に開催されたドラフトではそんなふうに酷評され、実際に2巡目全体55位で父が大黒柱として君臨するレイカーズから指名されても、祝福の声ばかりではなかった。 USCでの2023-24シーズン、ブロニーは25試合で1試合平均19.3分をプレーし、4.8得点(FG成功率36.6%、3P26.7%)と苦戦。昨年7月の練習中に心停止という恐ろしいアクシデントで離脱するという不運もあった。いずれNBAを目指すとしても、カレッジを1年プレーしたのみでのプロ入りは時期尚早すぎると見られていた。 それでも結局はレイカーズから指名され、開幕戦で父との同時出場を果たすに至った背景は理解できる。NBAはビジネスであり、NBA史上初の親子同時出場は大きなハイライトになる。もうすぐ40歳になるレブロンがこの瞬間を熱望したのは当然であり、歴史的なシーンだったことを否定するファンはほとんどいないはずだ。 しかし、この流れを知って、"縁故採用"と陰口を叩くファン、関係者はもちろん少なくない。プロである以上、話題性、コネクションは大事だが、同時に正当な努力を積んでいる選手のスポットを奪うことにもなる。だとすれば、風当たりが強くなるのは仕方ない。ブロニーの立ち位置を幸運と感じるのか、その逆と捉えるかは意見が分かれるところだが、"ジェームズ"の看板を背負って同じプロスポーツをプレーする息子には、周囲の厳しい声にも負けない精神的な強さが要求されるのは、事実に違いない。 「ブロニーの最初の試合でちょっとしたセレモニー(=親子同時出場)をするのは、すばらしいことだと思った。しかし、彼はまだNBAでプレーする準備はできていない。バスケットボールをプレーするためには、Gリーグに所属するべきだ。NBAでベンチに座っていてもよくなることはないだろう」 NBAのご意見番、チャールズ・バークリーが11月下旬、"The Better Angle"というポッドキャストで述べていた言葉は、あまりにも正しい。