「50代からの新NISAデビュー」は手遅れなのか…経済評論家が「まだ間に合う」と力説する理由と投資先の選び方
■「株は分散して投資すればするほど、リスクを減らすことができる」 2 なぜトヨタやソフトバンクじゃなくて投資信託が人気なの? さて、この基本的なところを理解すると、 「じゃあトヨタやソフトバンクのように成長しそうな会社の株を買えばいいじゃないか?」 と思うのではないでしょうか。しかし株式投資にはリスクがあります。 利益が増えれば株価が上がるのであれば、その逆に利益が減れば株価は下がります。同じ自動車産業では直近で日産が90%を超える減益を発表しました。トヨタと違い、成長戦略が描けていない日産の株は5年前の11月には680円ぐらいだったのですが、直近では420円まで値下がりしています。 このように株は利益が期待できる一方で、リスクも大きいのです。 このリスクについて1980年代以降、経済学者の研究が進みました。それらの研究の結論としてわかったことがあります。それは、 「株は分散して投資すればするほど、リスクを減らすことができる」 ということです。 具体的には100万円で日産の株を買うのと比べて、50万円ずつトヨタと日産の株を買ったほうがリスクが小さくなります。ところがどちらも自動車業界ですから、自動車業界自体が不況になればダブルパンチになるかもしれません。だったら25万円ずつ、トヨタ、日産、NTT、ソフトバンクを買えば業界が違いますからさらにリスクを分散できます。 こうやってリスクを分散させていくことで、日本株だったら日経平均のように225社にリスク分散をした投資信託や、アメリカ株だったらS&P500のように500社にリスク分散をした投資信託の方がリスクが小さくなるのです。 このように大企業の株主となって儲ける魅力がある一方で、リスクも十分に分散できることから、新NISAでは投資信託が人気なのです。 ■TOPIXが「ちょっとしょぼい」と見えてしまう理由 3 なぜ日本株でなく外国株なの? さてリスク分散をした投資信託がいいのであれば、アベノミクス以降絶好調の日本株の投資信託でいいと思いますよね。でも実際は新NISAの人気ランキングには上位にほぼ外国株投信が並び、ようやく9位に東証の株式全体に分散したTOPIX連動型の投資信託がランクインします。日本株よりも外国株の方が人気なのです。その理由は何でしょうか? 仮にこの日本株のインデックスに連動するeMAXIS Slim国内株式(TOPIX)という商品に今年の1月に100万円を投資していたら、直近では110万円と10万円の利益が出ています。2年前に始めた人は145万円で45万円の利益です。 これは定期預金と比べてまったく悪くない。いい結果です。しかしTOPIXの10万円の利益は、さきほど紹介したオルカンの利益23万円やS&P500の27万円と比較するとちょっとしょぼいと感じます。