「空が見えればどこでもつながる」 圏外スマホと通信、スペースX衛星利用 KDDIが実証
KDDIは24日、米スペースXの衛星通信網「Starlink(スターリンク)」とauスマートフォンの直接通信サービスの実証実験に成功したと発表した。23日に沖縄県久米島の実験環境で行った実証で、圏外状況のauスマホが地球低軌道にあるスターリンクと直接通信し、SMS(ショートメッセージサービス)受信を確認した。両者は、空が見える状況であれば圏外エリアでも通信ができるサービスの提供を予定している。 【関連写真】スターリンクと直接つながったauスマホの画面 米起業家イーロン・マスク氏が率いるスペースXが構築したスターリンクの通信衛星は、従来の静止軌道衛星に比べ地表からの距離が65分の1程度近づく高度約550キロメートルの低軌道上に配置され、大幅な低遅延と高速伝送を実現。世界中に高速・低遅延の衛星ブロードバンドインターネットを提供している。 KDDIは2021年9月にスペースXと業務提携し、スターリンクを活用した共同検証に着手した。22年12月には、静岡県熱海市初島でau回線のバックホール(中継)に活用したサービスをスタート。今年1月にスペースXが最新鋭衛星6機を打ち上げ、衛星とスマホが直接通信できる体制を整えていた。 KDDIは、光回線を敷設しづらい山間部や野外イベントでは、車載型基地局やスターリンクを活用した通信対策を実施してきた。衛星との直接通信が可能になったことで「これまで通信が困難だった山間部や島しょ部を含む日本全土にauのエリアを拡張し『空が見えれば、どこでもつながる』体験を実現していきたい」(KDDI)としている。まずはSMSなどのメッセージ送受信からサービス提供を始め、音声通話やデータ通信も順次対応していく方針。
電波新聞社 報道本部