2,000万円あっても不安は尽きない…老後資金の悩みを〈高配当株〉で払拭する方法【マネックス証券チーフ・ストラテジストが解説】
もし1億円分の高配当株を持っていたら?
とはいえ、ここで説明した額は、あくまでも老後2,000万円問題を解決するのに必要な、ギリギリの話です。本当に豊かな老後を過ごしたいのであれば、1億円くらいの資産は欲しいところです。65歳までに1億円をつくる。そのための方法を考えてみましょう。 仮に1億円で4%の配当利回りで運用できれば、年間400万円の配当収入が得られ、これに公的年金を合わせれば、相当に豊かな老後生活が送れます。 1カ月の実収入が、公的年金を中心にして20万9,198円だとするならば、これに年間400万円の12分の1である33万3,333円が配当から得られるので、月50万円以上の生活が実現できます[図表2]。老後、夫婦が生活していくには十分な収入でしょう。 では、本当に1億円が実現できるのでしょうか。普通の会社員だとしたら、これを実現するには時間を味方に付けなければなりません。つまり、いかに長期投資が出来るかで、成功確率は大きく違ってきます。 まず、新NISAで「満額1,800万円」をいかに早く達成するか、です。たとえば1,800万円を15年間で達成するという目標を決めたとします。運用利回りが7%であれば、毎月の積立金額は5万6,789円です。これでひとまず、運用収益も含めて1,800万円を達成させます。 1,800万円が出来たら、次はそれを高配当利回り銘柄でポートフォリオを組み、運用していきます。この時点で40歳だとしたら、65歳までの運用期間は25年間です。この間、5%の配当利回りで再投資し続けた場合、65歳時点でつくれる資産の額は、6,095万4,388円です。 これに退職金が1,000万円だとしたら、約7,100万円の金融資産を築くことができます。1億円には足りませんが、7,100万円の金融資産を築くことが出来れば、ひとまず安泰だと思います。この7,100万円を仮に5%の配当利回りで運用すれば、年間の配当収入は355万円になります。 ちなみにNISAで満額投資した場合、配当は総合課税の口座に入るので、再投資の効率は落ちます。年間355万円の配当収入ということは、1カ月あたり約30万円。これに公的年金を加えれば、生活費としては十二分でしょう。 あくまでもシミュレーションなので、必ずこのようになるという保証はありませんが、自分でこのような計算をしてみて、将来の必要資金の目安を考えておくだけでも、お金の不安は、かなり払拭できるはずです。 広木 隆 マネックス証券 チーフ・ストラテジスト ※本記事は『利回り5%配当生活』(かんき出版)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。
広木 隆
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