少額投資非課税制度 日本版ISAとは?
2014年からスタートする「少額投資非課税制度」。聞きなれない言葉ですが、投資にまつわる税金対策だけでなく、インフレ対策にも有効と金融機関が熱心に勧誘を進めており、目にする機会が増えてきました。どんなメリットがあって、どんな注意が必要なのでしょうか?
年100万円までの投資が非課税
少額投資非課税制度は、NISA(ニーサ)という愛称で呼ばれています。イギリスにISA(Individual Savings Account)と呼ばれる同じような制度がすでにあり、これの日本版ということでNipponのNが頭に付きました。そのため、日本版ISAと呼ばれることもあります。NISAでは、最長5年という期限付きで、毎年100万円までの投資(少額投資)であれば、得られた利益に税金がかかりません(非課税)。つまり、「5年間で最大500万円までの投資から得られた利益に対しては課税しませんよ」という期間限定の制度です。 この制度が注目されている背景の一つには、安倍政権の経済政策「アベノミクス」があります。アベノミクスはインフレを起こし、物の値段(物価)を2%程度まで上げると言っています。物価が2%上がると、貯金の利子が2%かそれ以上でないと、貯金が目減りしてしまいます。1万円の貯金で1万円の物が買えたのに、欲しかった物が1万200円になると、その貯金で買えなくなります。 普通預金の金利は、銀行によって異なりますが、0.01%からせいぜい0.08%です。普通預金と較べて利子の良い定期預金でもその数倍程度で1%を切っていますので、物価が2%上がるとしたら、その上昇率に利子が追いつけません。2013年現在、普通・定期預金の利子は雀の涙ほどもないばかりか、物価上昇分にも満たず、価値が目減りする恐れがあるのです。さらに来年4月からは消費税が8%に増税されます。
証券優遇税制に代わる側面も
物価上昇に負けない利回りが見込めるのは、株や投資信託など、儲けもすれば損もするリスクがある金融商品です。これなら物価上昇に負けず、元本が増えていくことが期待できるでしょう。 では、普通に株や投資信託に投資すればいいのかというと、そうでもないのです。2014年から株などを売って得られた利益に対する課税率が10%から20%に上がることが決まっています(証券優遇税制の打ち切り)。10万円儲けたら、2万円が税金で持って行かれてしまうのです。NISAは、この優遇税制の代わりとして期待されている側面もあるのです。 NISAを利用するためには、銀行や証券会社で「非課税口座」を開きます。口座が開けるのは、20歳以上の国内在住者。一人につき1口座までと決まっています。夫婦でなら最大合計1000万円までが非課税対象となります(口座が開設できるのは2023年まで)。 口座開設にあたって注意しなければならないのは、銀行や証券会社によって、取り扱いのある金融商品が違うことです。銀行は、株式投資信託を扱っていますが、国内外の株式やREIT(リート)と呼ばれる不動産投資商品などは扱っていません。いろいろ投資してみたかったのに、自分の欲しい商品がなかったというのは避けたいところです。