バイナンス、ナイジェリア制裁の一部始終:落胆するビットコイン・ユーザーと為替レートを巡る不都合な真実【取材】
ナイジェリア政府の強硬姿勢はアフリカ全土に波及するのか?
ベンチャーキャピタルのケップルグループ(Kepple)で、Kepple Africa Ventures (KAV)のゼネラルパートナーを務め、ナイジェリアに在住する品田諭志(しなだ・さとし)氏は、「ナイジェリア政府はしたたかに事を進めながら、(この問題を)エスカレートさせるつもりはないだろう。やり過ぎれば、海外からナイジェリアへのクリプトによる資金流入にまで影響を与え、自分で自分の首をしめることになる」と述べる。 前出のロビー団体BICCoN、ウワクウェ会長も、「(取引所に対する締め付けは)ナイジェリアが暗号資産やブロックチェーンを基盤とする有効な技術を排除するようなシグナルを、国内外に送ることにもなりかねない。団体としては、政府が取引プラットフォームや技術を悪用する者だけを排除し、有効なテクノロジーを活用するアプローチを強めるよう促していきたい」と述べ、品田氏の見立てと同様の見方を示した。 2億2,000万人が住む大国ナイジェリアは、暗号資産の導入スピードが世界で最も早い国の1つであり、ブロックチェーンを活用するスタートアップの数も増え続けている。当然、欧米やアジアのベンチャーキャピタルもナイジェリアでの投資活動を強めてきた。 ナイジェリア政府の今回の強硬策に対して、暗号資産を保有する多くの個人からは、より悲観的な見方が聞かれる。取引所に対する政府の制裁は、西アフリカのナイジェリアで起きたことだが、「この流れが他のアフリカの国々に波及するようなことになれば、アフリカ全体のクリプト市場が崩壊してしまう」と、東アフリカのケニア在住で、暗号資産取引を日常的に行っているヴィクター・キャロ氏は述べる。 「止まらない(法定)通貨安で、クリプトは我々にとっては逃避先の資産であり、この中心となってきたのがナイジェリア。アフリカ全土の暗号資産トレーダーにとっては、将来の貯えをどう安全に守っていったらよいだろうか」(キャロ氏) |取材・文:佐藤 茂|トップ画像:ナイジェリア最大の都市ラゴス/Unsplash
CoinDesk Japan 編集部