第93回選抜高校野球 20年で県内選手も躍進 明豊OB・宮本さん、大舞台の活躍期待 /大分
<センバツ甲子園> センバツに出場する明豊。県内では、高校野球で古豪の大分商や津久見など公立校志向が強く、新興の明豊は、遠方から進学した選手が目立っていたが、近年は、県内の有力選手が進学するケースも増えている。【辻本知大】 「昔は、試合で肩身が狭いなんてこともありました」。明豊1期生で、野球部OBの宮本真徳さん(37)が振り返る。 別府市出身の宮本さんは、少年野球で活躍し、明豊の小玉孝監督(当時)と知り合った。小玉監督を慕って同校に進学。3年の夏、同校が初めて甲子園に出場した時のレギュラーメンバーだ。 当時は「野球留学」の是非が盛んに議論されていた。明豊がやり玉に挙げられることはなかったが、1~3年まで約60人いる部員のうち県外出身者は7割。主力はほぼ全員が県外選手だった。 宮本さんのチームメートで当時の主将だった黒仁田享さん(37)は佐賀県唐津市からの越境入学。県予選では、試合のたびに「外人部隊」とヤジが飛んだことを覚えている。小玉監督から「気にするな」と諭され、実力で見返そうと歯を食いしばった。 しかし、初出場ながら勝利を重ねると、風向きが変わった。「テレビで大分からの応援の声がたびたび聞こえてきたんです」と宮本さんは振り返る。ベスト8まで進出し、地元に戻るとJR別府駅前で大勢の人が出迎えてくれた。 宮本さんは「甲子園の活躍で周囲の評価も変わる。大舞台に行くことで、良い選手も集まる好循環ができる」と強調した。近年のチームは、県内出身の有望株も活躍。前チームはエース兼主将の若杉晟汰さん(18)をはじめ、主力の半数以上を県内出身者が占める。 新チームも、幸修也主将(2年)は別府市出身。主砲の黒木日向選手(同)は津久見市出身だ。 黒仁田さんは「甲子園に行けば行くほど、県内の球児からの憧れも強くなる。母校に良い人材が集まっているのはうれしい」。宮本さんは「よく見知った地元の子たちが活躍するのは心強い。県外から来てくれた強い選手と競い合って、チームを活性化させてほしい」と話す。