横浜FCが1年でJ1昇格できた裏側に最高のお手本の存在…今も健在“魔法の左足”を持つ男の力
◆明治安田J2リーグ ▽最終節 山口0―0横浜FC(10日・みらスタ) 横浜FCが2季ぶりのJ1昇格を決めた。敵地で山口に0―0で引き分け勝ち点76とし、J1自動昇格圏の2位以内を確定させた。今季は四方田修平監督(51)が昨季から強みにしていた守備を武器に、リーグ最少失点(27点)を記録。昇格王手から2戦で7失点するなど3戦連続で足踏みしたが、チームの原点である堅守に立ち返り、3位・長崎の追い上げを振り切った。同チームのコーチである元日本代表の中村俊輔氏(46)は、現役時代の豊富な経験をチームに還元し昇格に貢献した。 試合終了の笛が鳴った瞬間、笑顔でJ1昇格の歓喜の輪に加わった。中村氏は22年に横浜FCで現役引退すると、23年にコーチに就任。練習では適切なタイミングで助言や声がけをする。左足で高精度のキックを操るDF福森は「俊さんの助言でバリエーションが増えた」と現役時にキックの名手だった同コーチの指導で磨きをかけ、リーグ最高の14アシストを記録。日本代表、海外クラブ、Jリーグで活躍した中村コーチは経験と言葉で選手を導いた。 最高手本 “魔法の左足”も健在だ。GK市川は週1回、中村氏のシュートを止める練習を行う。左足から繰り出される変幻自在のシュートを受け、守護神は「(動くのを)我慢できるようになった。俊さんのシュートは、最後まで見ていないと足首で(軌道を)変えられてしまうので」と成長を実感する。チームの練習に入ると、現役さながらのプレーも披露する天才レフティーの技術は最高の手本となった。 今季は、リーグの監督になるために必要なS級ライセンス取得にも励んでいる。「選手が『学べる』ような指導者になりたい。選手たちの人生でそういう人は必ずいる。その中の一人になりたい」と語る中村氏。現役時代と同様、指導者としてもまた一つ功績を積み上げた。(浅岡 諒祐)
報知新聞社