忍野八海と一緒に訪れたい。山梨食材にこだわる日本料理の名店『忍野八洲(おしのやしま)』の旨さの秘密
お酒は、『井出醸造店』の日本酒〈甲斐の開運〉と、『7c | seven cedars winery(セブンシダーズワイナリー)』の甲州種のワインです。 「河口湖の湖畔にある『井出醸造店』さんの〈甲斐の開運〉は、標高850mの冷涼な気候と富士山水系の豊富かつ美味しい水で仕込まれた純米酒。柔らかな香り、きめ細かくなめらかな口当たり、しっかりとした旨味が特徴です。お好みでぬる燗にすれば、さらに味に奥行きが生まれますよ」(天野さん・以下同)
また、『セブンシダーズワイナリー』は、ワイン王国・山梨にあって、富士北麓エリア初のワイナリー。2022年に創業した小規模なワイナリーですが、いまや山梨は言うに及ばず、全国的にそのワインのクオリティが注目され始めています。 「甲州種のワインは、柑橘系の爽やかな香りときれいな酸、飲み飽きない軽やかさが特徴。和食の求める食中酒としてぴったりの味わいです」
蓬豆腐(よもぎどうふ)やチャンバラ貝の煮物、うぐいす菜の煮浸しなどで構成される前菜は、どれも奇をてらわないオーソドックスな調理法ながら、手抜かりのない凛とした旨さ。食べながら、思わず「あぁ、美味しい」と言葉がこぼれます。日本酒・ワインとの相性は言わずもがな。
そして主役の甲州牛。やわらかい肉質と豊かな風味が身上の、山梨県を代表するブランド牛です。運ばれてきた瞬間、その肉質の艶やかさ、色味の鮮やかさに思わず息を呑みました。 甲州牛を、だしを張った鍋にサッとくぐらせます。ピンクがかった状態の肉を引き上げ、実生の柚子から作る自家製ポン酢に浸していただけば、もはや言葉はいりません。ただひたすらに口中に幸福が広がっていきます。
さらに、葉玉ねぎやスイスチャード、大塚にんじん、大塚ごぼうなどの山梨県産の地野菜が美味しいこと。味が濃くて、噛むたびに旨味と甘みがじわじわと染み出してきます。 このしゃぶしゃぶと、旨味のある純米酒、そしてスッキリとしたワインがピタリと寄り添う、まさに至福のペアリング体験でした。 心ゆくまで甲州牛を味わったら、最後にお楽しみが待っています。牛肉の旨味が染み出しただし汁を雑炊にしてくれるのです。当然、『忍野八洲』ではお米も山梨産にこだわっています。