プロ野球は「国民的娯楽の王様」というフェイク。実は、日本のベースボールは衰退の危機に突入
亜熱帯の「亜」が取れてしまった灼熱の極東の島国で、日本で2番目の発行部数を誇る全国紙が、郷土の誇りなど希薄になった、身体を削って行われる酷暑の全国大会を今もなお延々と続けています。未来を考える球児はもう最初から海外でのプレーを考え始めています。 ■悪意のないプチ・フェイク もし、ベースボールを主導する人たちが、自チームの利益にとどまらないスポーツ全体の未来への視点をもつなら、自らの歴史的役割(ベースボールの魅力を全国規模に広げたこと)の転換点を自覚し、加速化する裾野の枯野化を防ぐ、真の意味でスポーツが地域に根ざすものとして文化になる、21世紀コンテンツをつくり上げるべきだと思います。まだお客さんがたくさん来てくれる今がチャンスです。
トップ800人のリクルート・システムを整備しつつ、いつの日か「今日は比較的お客さんが入りましたね。9000人です」などとアナウンスされる日が来てしまうのでしょうか? 長い年月に引きずられた「野球こそ国民的娯楽の王様」という「悪意のないプチ・フェイク」に気づき、ベースボールを残してくれた先人たちの尽力に恩返しをしたいという気持ちです。
岡田 憲治 :政治学者/専修大学法学部教授