大谷翔平、不屈の一撃 ドジャース初黒星も左肩亜脱臼後初の快音
ワールドシリーズ第4戦(ヤンキース11-4ドジャース、ドジャース3勝1敗、29日=日本時間30日、ニューヨーク)米大リーグのワールドシリーズ(WS=7回戦制)第4戦が行われ、第2戦で左肩を亜脱臼した大谷翔平投手(30)は「1番・DH」で出場し、4打数1安打。五回に負傷後初安打となる中前打を放ち、直後の走塁で二塁へスライディングするなど回復ぶりをアピールした。チームはヤンキースに4-11で大敗し、3勝1敗。2020年以来4年ぶり8度目のWS制覇は、30日(同31日午前9時8分開始)の第5戦に持ち越しとなった。 プレーボール直後の初球に豪快なスイングを披露した。一回、大谷がL・ヒルの96・6マイル(約155・4キロ)の直球をフルスイングした(結果はファウル)。フルカウントからスライダーを打ち損じて遊飛に倒れたが、スイングスピードは83マイル(約133・5キロ)をマークした。 「(大谷に)何度も尋ねたが、(スイングに)違和感はない。ただ、ボール球を追いかけているだけ。(七回に)四球につながる重要な打席があった。それによって塁に出られないのはいただけない」 ロバーツ監督は試合後、フルカウントからボール気味の球に手を出して空振り三振に倒れた打席を指摘したが、第2戦の走塁時に亜脱臼した左肩の状態は良好であると強調。それを裏付けるように、今季平均スイングスピード76・3マイル(約122・7キロ)を大幅に上回る力強いスイングを何度も見せた。三回の中飛も76・9マイル(約123・7キロ)のスイングだった。動きがぎこちなかった第3戦に比べれば、左肩の回復ぶりは明らかだった。 3-5の五回無死一塁では、代わったばかりの変則左腕、T・ヒルの初球シンカーを中前に運び、負傷後初安打。25日(日本時間26日)のWS第1戦の第4打席以来、13打席ぶりの安打で出塁すると、続くベッツの遊ゴロでは二塁にスライディング。アウトになったものの、前日の第3戦同様、左手でユニホームの胸元をつかんだまま左腕を固定した状態で走ったが、ロバーツ監督も「現状、問題はない」とうなずいた。試合後、取材対応のなかった大谷はサポーターなどは付けずにロッカールームを後にした。 3連勝でWS制覇へ王手をかけていたチームは、一回から救援投手をつなぐブルペンデーで臨むも、三回に2番手・ハドソンがボルピに逆転満塁本塁打を被弾。劣勢の中、ロバーツ監督は勝ちパターンの救援陣を温存する継投策に切り替えた。4-11で大敗したが、指揮官は「状態が良く、休養十分な救援陣が6人いる」と自信をのぞかせた。
30日(同31日)に行われる第5戦の始球式を、ヤンキースで2009年のWSで最優秀選手(MVP)に輝いた松井秀喜氏(50)が務める。大谷はWS開幕前日に「自分が少年のときに憧れていた選手。子供たちの模範となる人であり、選手。そういう意味では相当な影響を受けた」と語った。最高峰の舞台で光輝いた先人の前で、悲願の世界制覇を成し遂げる。(横山尚杜)