<女子バレー>Vリーグ連覇に涙、久光製薬・中田久美監督「しんどかった。私が一番不安でした」
苦しみながらの優勝
バレーボールのV・プレミアリーグ女子優勝決定戦が行われ、昨シーズン女王の久光製薬が岡山を下し、2連覇を達成した。久光製薬としては4度目の優勝。今季、皇后杯と合わせ、2冠となった。 2連覇が決まった瞬間、久光製薬・中田久美監督は両手で顔を覆った。 「勢いで勝てた昨シーズンと違って、今シーズンは、本当にいろいろなことがあって、しんどかったです。しかもセミファイナルでシーガルズに0-3のストレートで負けて。優勝できるかどうか、私が一番不安でした」と、涙ながらに振り返った。 先発メンバーのうち、セッターの古藤千鶴、リベロの筒井さやかをのぞき、サイドアタッカーの新鍋理沙、長岡望悠、石井優希、ミドルブロッカーの平井香菜子、岩坂名奈と5人が全日本代表。昨年11月にグラチャンが終わり、全日本組が戻ってきてから、V・プレミアリーグ開幕までは、わずかに10日ほど。しかも、長岡は故障をしてしまっていた。 全日本組が久光のバレーについていけず、ちぐはぐになってしまった。12月、1月には連敗もあった。「自分たちの問題。チームになっていない」と中田監督はリーグ前半、よくそうもらしていた。 リーグ途中、体調を崩し、監督を休んだ試合もあった。ホームゲームで2連敗。一時、5位にまで落ちたことも。チームは自信を失いかけた。 後半になり勝ち続けるようになっても、「勝っても勝っても納得がいかず、負けたら負けたでなんで負けるのかと。しっくりこないというか、何かが足りないと、もやもやが、いつもあった」という。 レギュラーラウンドは1月25日から18連勝。23勝5敗(うち14試合がストレート勝ち)でダントツの1位。 周りからは「久光は強い」「圧勝だね」と言われた。しかし実は、監督も、選手も、悩み迷い、苦しみもがきながら戦い、セミファイナルでの思わぬ完敗に大きな不安を抱えながら、ようやく手にした優勝だった。 4月17日からは、日本のクラブ代表としてアジアクラブ選手権(タイ)を戦う。そこで1位になれば、次は、世界クラブ選手権(5月7日~スイス)だ。 「久光のバレーが世界にどう通用するか試してみたい」と、日本一からアジア一、そして、世界一へ。さらなるステップアップに、思いをこめた。