縦型ショートドラマ「最期の授業」11月末に船出、「UniReel」第1弾、日本テレビ・鈴木努氏「コンテンツの強度、質で勝負」
TikTokと東宝がタッグを組む縦型映画祭を始め、テレビ東京と、こねこフィルムによる縦型ショートドラマアカウント「aimaiMe(アイマイミー)」、NTTドコモ・スタジオ&ライブ、FANY、Mintoの3社共同制作の縦型ショートドラマプラットフォーム(今冬配信予定)など縦型映像の分野が、にぎわいを見せている。 11月末からはショートドラマアプリ「UniReel」の第1弾として、新たに、日本テレビ企画・制作の縦型課金ドラマ「最期の授業―生き残った者だけが卒業―」(FANTASTICS・八木勇征主演)の配信が決定。「最高の教師 1年後、私は生徒に■された」などのヒット作を担当した同局の鈴木努プロデューサーが今作を手がける。鈴木氏は「地上波ドラマは、1000万人が心を削られるに見終われるものを意識しますが、今回は、とがった企画でも細かな表現は、気にせずにやっていいということだった。5万人、10万人が深いところで熱狂できるものを作ろうと思いました。初陣だったので楽しみが大きかったですね」と話した。 同作は、担任教師(八木)が生徒たちに復讐劇を仕掛ける学園デスゲーム。1話2分ほど、全体で80分程度にして描く。鈴木氏は縦型の海外作品を片っ端から見て、傾向と対策を研究。真っ先に取り組んだのは、コンテンツの強度を高めることだった。 「作品のテーマや内容、タイトル、キャスティング、プロモーションに至るまで一つ一つの満足度を上げること。誘導して課金してもらい、『最後まで見たい!』と思わせないといけない。縦軸が連ドラの作りに近かったので、『生き残った者だけが卒業』という強烈な縦軸を作りました」 約2分という限られた時間内で表現するため、共感性や分かりやすさを重視。「大抵の人が通ってきた道。細かな(役の設定を)説明をしなくても、先生と生徒の立ち位置は想像しやすいから」と学校を舞台にした。「学校という箱を社会に例えて、『生徒=大衆、世論』『先生=つぶされる側』という構造にしました。学園ものだけど、『何か分かるな』『こういうヤツ、部下、同僚にいるな』と感じてもらえるように」と、会話の内容もあえて抽象的な表現に変えた。 生徒役20人はオーディションで選出された。鈴木氏は「『格好付けないでさらけ出せるか』『自分自身を投げ捨ててやりきれるか』を基準にしました。『熱い芝居を作ろう』がコンセプト。さらけ出すのがダサい、格好悪いと思うような子は選外にしました」と説明。「SNSで数字を持っている子の投稿が、(ユーザーの)視聴行動につなげられるかというと、体感的には違う気がしていて。例えば、ある有名インフルエンサーを使っても『SNS以上のものが見える!』というところまで持っていかないと、あまり効果がなかったりするんです」と明かした。 キャスト、スタッフの本気が詰まった縦型ドラマの船出。「この子、こんな表情も見せるんだってものを提供できると思います。軽い気持ちで見に来た人は、きっと驚くんじゃないかな。課金にしても、大人の見え透いた手法はユーザー、出演者には分かるもの。1話50円~80円になると思うけど、姑息(こそく)に課金をさせるようなマネはしていない。コンテンツの強度、質で勝負しています」と自信をみせている。(加茂 伸太郎)
報知新聞社