「腰があるのにしなやかに動く脚はお見事!」 モータージャーナリストの菰田 潔がDS4エスプリ・ド・ヴォヤージュほか5台の輸入車に試乗!!
ワクワクして元気がもらえるのがガイシャだ!
モータージャーナリストの菰田 潔さんがエンジン大試乗会で試乗した5台のガイ車がこれ! DS4エスプリ・ド・ヴォヤージュ、ジャガーIペイス RダイナミックHSE、ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ、ランドローバー・ディフェンダー110 V8、ロールス・ロイス・ゴーストに乗った本音とは? 【写真23枚】モータージャーナリストの菰田潔さんがエンジン大試乗会で乗った5台の注目輸入車の写真を見る ◆想像や期待を超える 仕事柄、数多くのガイシャを運転する機会に恵まれている。買わなくても乗れるのが役得だが、広報車だけでなく個人所有のガイシャを運転させてもらえることもある。 そんな立場でガイシャには慣れているが、乗るたびにクルマ創りのこだわりを感じさせてくれるのがガイシャだ。乗る前に想像していたもの、期待していたもの以上の造りや反応があるのが楽しいし元気をもらえる。今回EPC会員と一緒に走っても、お互いにクルマ好きだから車内での話題には事欠かない。スーパーカーのウラカンは外観から想像するより室内は遥かに広く、会員と一緒に予想を超えた快適性を楽しめた。スーパーカーでも昔と違って運転しやすい。どんなフィールなのかを助手席に伝えながら走ると、クルマの動きから運転しやすそうだと見抜いていたようだ。流れに乗って普通に走っただけでも、ワクワクして元気がもらえるのがガイシャだ。 ◆DS4エスプリ・ド・ヴォヤージュ「腰があるのにしなやかな脚」 DSブランドは独特の芸術的色を持ったクルマたちだ。感性を高いレベルに引き上げてくれるというパリで生まれているからだろうか。「フレンチ・アート・オブ・トラベル」は感性を磨く豊かな旅をするためのDSブレンドからの提案だ。エクステリアではラジエターグリルには菱形模様がちりばめられ、テールランプにも菱形がデザインされている。インテリアにはさらに数えきれないくらいの菱形が点在している。シート表皮は革で、ここにも美しい模様がステッチで創られている。これらには高級感が漂うがサヴォアフェール(匠の技)が注ぎ込まれているという。全長4.4mの手頃なサイズながら、何年経っても飽きない芸術的な味わいから元気をもらえそうだ。だが筆者の場合は、DSからはしなやかな脚から元気をもらった。特徴は腰があるのにしなやかに動く脚が乗り心地とハンドリングに大きく寄与しているからだ。注目したいのはサスペンションの上下方向の動きはしなやかなのに、ハンドルを切った横方向は遊びのないダイレクトな動きで、スポーツカーでもないのに正確にライントレースができる。旅を通じて元気をもらえるクルマだ。 ◆ジャガーIペイス RダイナミックHSE「ジャガーらしい穏やかな走りは変わらない」 一緒に乗ったEPC会員さんは、クルマに乗り込んでから走り出すまでの過程で「区切りが欲しい」と言った。きっとスターターを回してエンジンが掛かってからギヤを入れて走り出すという手順が身についているから、BEVのIペイスでは助手席でも走り出すときの心構えをしにくいのかもしれない。Iペイスではダッシュボード中央右のボタンを押し、その下のD、N、Rボタンでギアを選んでアクセレレーターを踏めば発進できる。「VW ID.4などはスタート・ストップ・ボタンもないからいきなりDに入れて走るんですよ」と話をした。筆者はどちらかというと新しもの好きなので、今までと手順が違うことを楽しむ方だがそうでない人も多そうだ。これからBEVが増えていくときにそういったお客さんにも違和感なく運転できるBEVも必要かもしれない。 マイナーチェンジしたIペイスはジャガーらしい穏やかな走り味に変わりはなかった。0-100km /h加速は4.8秒と俊足なのに、アクセレレーターの操作には穏やかに反応するから扱いやすい。猫足はコーナリングも乗り心地も良いから乗れば元気になれる。 ◆ランボルギーニ・ウラカン・テクニカ「助手席もドライバーと一緒にドライブできる」 エンジンを掛けるところから儀式が始まり、そこからランボルギーニを味わえる。赤いカバーを跳ね上げ、エンジン・スタート・ストップボタンを押すと、背中の後ろでヴォヴォンという排気音とともに640馬力(470kW)、565Nmを発揮するV10エンジンが目覚める。予想よりおとなしいが、並のクルマより大きい音だ。EPCの会員さんもこの音でウラカンの感触を味わっている様子。後2輪駆動で最高速度325km /h、0-100km /h加速3.2秒と聞くと相当なジャジャ馬を想像するが、実際に走り出すと非常にジェントルなマシン。流して走ってジャジャ馬だったら到底325km /hは出せない。EPC会員さんから「サスペンションがちゃんとストロークしてますねえ」という感想。ストラーダ、スポーツ、コルサの3つのドライブモードがあるが、ストラーダは乗り心地とハンドリングのいいバランスだった。スポーツやコルサを選ぶと低回転からエンジン音が高まり、サスペンションも締まってくる。4WSも手伝っているのかハンドルもシャープに動く。「コーナーでロールしなくなりましたねえ」。助手席でもドライバーと一緒にドライブできるマシンだった。 ◆ランドローバー・ディフェンダー110 V8「このモダンさに惹かれる」 今のようにSUVが流行る何年も前からランドローバーは荷物を積んでどこにでも行けるクルマを造っている。イギリスの会社だし保守的かなと勝手に思い込んでいた筆者が、デザインで衝撃を受けたのがディフェンダー。泥んこになって走ることもあるクルマなのに、スッキリとしてモダンなところに惹かれる。太いタイヤがオーバーフェンダーの中に収まり、台形のプロポーションが強調されていい。都会で出会うディフェンダーはオーナーが綺麗にしているから、テールライトなどでそのモダンさがよくわかる。このデザインは見ているだけで元気をもらえる。意外にも近代的なのは計器盤で、回転計と速度計を並べて表示する標準タイプから、ほぼ全面を地図にすることも可能。中央に回転計がレイアウトされ、その中にデジタルの速度計が組み込まれるパターンなど5種類から選べる。フロアは高く、アイポイントがかなり高いので見晴らしがいい。サスペンションのストロークが長く、乗り心地はすこぶる快適。ソフトなのに揺れ過ぎないところがいい。5リッターのV8エンジンで長距離ドライブが楽そうだ。 ◆ロールス・ロイス・ゴースト「乗る人のために快適性を追求」 ハンドリング誰しも超高級車と呼ぶロールス・ロイス。その中で一番小さなボディ(といっても5545×2000×1570mm)がゴーストだ。2020年に11年ぶりのフルモデルチェンジで新世代に進化し快適性とハンドリング性能が飛躍的に向上したことを鮮明に覚えている。3年振りにハンドルを握って、再びあの味を確かめてみる機会を得た。自重が2540kgもあるから当然タイヤとホイールも21インチと大きい。このバネ下の重さは凹凸路面を走行したときにブルブルと感じるはずなのに不思議とそれがない。その秘密は前輪のアッパーアームに小さなウレタンをいくつか挟み込んで振動を抑え込んでいるのだ。開発者がここまで乗る人のために快適性を追求してくれていると考えただけでも嬉しい。さらにドライバーが乗ったら2.6t超の重量は走りには不利なはずだが、ワインディング・ロードを気持ち良く走れる。並のセダンなら余裕で追いかけ回せるくらいの実力がある。重量バランスがフロント・ヘビーでないからコーナー進入でスムースにターンインできる。今回もゴーストはこの走りで元気をもらえた。 文=菰田 潔 (ENGINE2024年4月号)
ENGINE編集部
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