あなたも当てはまる!?「もったいない」が招く「悲劇」…親世代の家がモノで溢れるまさかの理由
両親が亡くなったとき、実家をどうするか考えているだろうか。実家に戻って暮らすのか、それとも実家を処分するのか。いずれにしても遺品整理が必要だが、そこには想像以上の困難が待ち受けている。いわゆる「親家片(おやかた)」本には、「こうして片づけた」「こうすれば片づけられる」などと成功例が書かれているが、現実はそんな生やさしいものではない。 【漫画】刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由 『遺品は語る』(赤澤健一著)から抜粋して、注意するべきポイントをお届けする。 『遺品は語る』連載第17回 『【遺品整理、ナメていませんか】…遺品整理が“意外なほどに”時間がかかる「驚きの現実」と必要な「覚悟」』より続く
実家の荷物は想像以上に多い
現場で常に遭遇するのだが、高齢者世代が住む家は、とにかくものがあふれている。前述したように遺品整理のあとに出る廃棄物は、一般的な一戸建てで2トントラック5台分以上になるのが普通だ。遺品のすべてを廃棄するわけではないから、遺品全体の量はもっと多い。 使わないようなものでも取っておく。これは、親世代の習性といっていい。「もったいない」と、捨てることができないのだ。 たくさんのものを捨てずに取っておいた結果、どこになにがあるのかを親自身もわかっていない。いつも使うものだけならまだしも、使わないものに埋もれてしまっているため、使いたいものでさえどこにあるのかがわからない。 それらを片づけるのだから、困難になって当然だ。 とはいえ、そうなってしまうのは、高齢者がものを大切にするため捨てられないからだけではない、とも感じる。子どもの世代は大量の遺品を見て、「こんなものまで取っておいて、ものを持っては逝けないのに……」などと嘆いたりするのだが、親の体力と判断力の衰えによる面も大きいことを理解する必要がある。
もので溢れた実家の実態
現場に行くと実態がよく見えてくるのだが、両親が高齢の場合は、多量の品々が整理・整頓されていないことが普通だ。ただ雑然とものが置かれているのだ。 実際の遺品整理の現場で、納戸の奥に50年以上前の寝具が新品のまま使われずに残っているのを見たことがある。冷蔵庫の奥、手の届きにくいあたりに賞味期限切れどころか、何年も前の食品が隠れているのは、ごく普通にあることだ。 おおむね古いものは手の届きにくい奥まったところに置かれ、比較的新しいものほど手近に置かれているものらしい。種類や機能、使用頻度などとはまったく無関係に、置きっぱなしになっているのだ。 これは、整理・整頓するために必要となる的確な判断力と、判断に応じてものを移動させる体力が低下するためだと私は感じている。だから、「とりあえず取っておく」のだ。 とにかく、高齢になった親の世代は、整理・整頓されていない大量のものの中に住んでいるのが普通なのだ。 亡くなられたあと、こうした大量のものを遺品として仕分けし、残すものは残して、廃棄するものは廃棄する。しかし、廃棄物は単純に屋外に搬出すればいいわけではない。住んでいる地域の廃棄物処理ルールに応じて分別し、分別の種類に応じて当面は保管しなければならないものも当然出てくる。 もちろん、廃棄物を搬出できる日がきたら、物品ごとにその都度、回収に来てくれるところまで運び出さねばならない。作業量がハンパではないことは押さえておきたい。 『親も親族も頼りにできない! 遺品整理の現場で起きる想像以上の「困難」 』へ続く
赤澤 健一(グッドホールディングス株式会社代表取締役社長)