なぜ「車にかけるお金」は2位から18位に転落したのか?──教えて、博報堂生活総研さん! 若者のクルマと恋愛事情。<前編>
若者に不人気なのはドライブだけじゃない? スノボ、ゴルフも下降中
近藤 これに関連するデータとしてみていただきたいのが、20代に聞いた「よくする趣味・スポーツ」のランキングなんです。これ、先の結果とほぼ連動しているのですが、1992年は自動車・ドライブが1位なのに対して、2022年はやはり18位なんですね。 ──1992年の20代は、5割以上が趣味を問われればクルマ! と答えていたんですね。今やそちらの方が不自然な感があります。 近藤 じゃあスポーツ系が伸びているのかといえば、スキー・スノボやゴルフも同様に下降しています。 ──その辺りはクルマとの親和性が高いスポーツではありますが、テニスや水泳といったギアがライトなスポーツも下降してますね。代わって上がっているのは何なんですか? 近藤 2022年の1位は動画視聴です。20代の回答率は62.6%ですね。続いて映画鑑賞、漫画アニメ、音楽鑑賞、モバイルゲームと続きます。 ──これ、コロナ禍での生活様式が影響しているところもあるんですかね? 近藤 おっしゃる通りで、ちょっと端的に振れたところもあるかもしれませんが、傾向として趣味がインドア側に寄っていることは顕著に現れていますね。ちなみにインドア派かアウトドア派かといえば、20代は半数以上がインドア派だというデータもあります。2000年代まではアウトドア派の方が多かったんですが、この10年でみても様相が随分変わりました。 ──この10年に起こった変化といえば、スマホの普及ですか。 近藤 そうです。ネットの発達や浸透、スマホの普及によって、人々の行動が大きく変化しました。極端な話、移動しなくても家にいながらにして世界の人々とコンタクトがとれる、世界の情報にアクセスできる、そういう環境が整ったんですね。 ──確かに、この環境のおかげでコロナ禍もなんとか切り抜けられた感はありますし、働き方やコミュニケーションの手段も変わったのは間違いないんでしょうね。でも、一方で体験することの価値が見直されたという側面もあるんじゃないですかね? 交際なんて最後は対面でしか成立しませんし。 近藤 そこについては、私も衝撃を受けたんですけど、こんなデータがあるんです……。 (後編へ続く)
文=渡辺敏史 写真=守谷賢一郎 取材協力=博報堂生活総研