小学校でもブラック部活動?「部活の問題は中高だけじゃない」
小学校の部活問題 あまり取り上げられず
そもそも小学校の部活とは何なのだろうか。小学校の学習指導要領には部活動という言葉はない。教育委員会や学校の話を総合すると、放課後の教育活動として学校が主体的に行うパターンと、本来は外部が運営するスポーツ少年団などの運営を学校が肩代わりしているパターンがあるようだ。ただ、小学校の部活動の実態を捉えた全国調査はない。 一端を知ることができるのが、スポーツ庁が毎年行っている「全国体力調査」。児童への質問の中に、「学校の運動部に入っていますか」という質問がある。 全国平均では、運動部に入っているのが男子29.8%、女子20.1%。割合には全国でばらつきがあり、熊本県では男子の57.0%、女子の46.9%が学校の運動部に入っていると回答している。逆に茨城県では男子が14.2%、女子が7.9%しか入っていない。なお、すべての地域で入った理由について、自分から進んでが最も多く50%前後、次いで多いのが「家の人に勧められたから」で20%前後。先生に勧められたという割合は1~2%だった。 少なくない子供が学校の部活に参加しているものの、地域的にばらつきがあるため、中学校ほど問題視されてこなかった可能性がある。また、入部の背景には保護者の働きかけもあるようだ。 現在スポーツ庁では、運動部活動の在り方に関する総合的なガイドラインの作成に向け、協議が続いているが、話の中心は中学校の部活動になっている。 スポーツ庁政策課学校体育室の担当者は「小学校で部活が行われているという前提がなく、今回のガイドラインも特に中学校の状況を踏まえて議論している」と話す。また、「小学校で部活動があったとして、中学校ほどのボリュームで行われているわけでもないので、中学校と同列に問題として扱うのは難しい」などとしている。 メディアの報道も中学・高校が中心で、小学校でも部活指導を教員が担っていることや、少年団活動にまで責任を持たされていることはほとんど取り上げられていない。 それどころか、小学校でも部活動の練習を熱心に行うことを前向きに表現するような報道さえある。 2016年10月、ある全国紙の千葉版には、同社主催の吹奏楽大会に出場する小学校が取り上げられていた。そこではこのように書かれていた。 「■挫折経て、目の色変え猛練習 A小 A小学校の吹奏楽部は、大会に2011年から連続出場し、昨年は大会初出場で金賞を受賞した。(中略) ただ、県大会前の6月の別の大会では一次審査で落選。これで部員らの目の色が変わった。土曜の練習時間を増やし、部活が休みの水曜も自主練習に励んだ」 小学生ではあるが、土曜日にも練習し、部活の休養日にさえ自主練習している様子がうかがえる。報道も練習時間を増やして取り組んだことに対し、前向きなトーンとなっている。