B29の発進地「原爆の島」が再び動き出す...米軍が太平洋で進める、新たな「対中国戦略ミッション」とは?
グアムに代わる出撃拠点に
一部の米空軍機は、再整備がスタートするより前に、既にテニアン北部で飛行活動を行っていた。12年には、海兵隊の輸送機「KC130Jハーキュリーズ」がノースフィールドのベーカー滑走路に着陸した。同滑走路に航空機が着陸したのは、1947年以来初めてだった。 一方、旧ウエストフィールド飛行場のテニアン国際空港では近年、複数回にわたり米軍の軍事演習が行われている。今年に入っても、空軍のステルス戦闘機「F22ラプター」が同空港に着陸している。 米シンクタンク「全米抑止研究所」の客員上級アナリストを務めるジョシュア・シバートによれば、テニアン島を活用することにより、米軍は地域の安全保障上の課題に迅速に対応することが可能になる。この島は、米軍にとって西太平洋における軍事演習、パトロール、作戦行動の拠点にもなる。 「アメリカが潜在的な敵対勢力を抑止し、この地域における国益を守る能力が高まる」と、シバートはグローバル・セキュリティー・レビュー誌で述べている。 具体的には、戦闘爆撃機の出撃拠点として、グアムの基地に代わりテニアンを活用することになるだろう。 18年には既に、2機のステルス爆撃機「B2スピリット」(核兵器と通常兵器の両方を搭載可能)が西太平洋のウェーク島に着陸し、ホットピット給油(エンジンを動かしたまま行う給油)の訓練を行った。 「インフラが十分に整備されていない場所から行う作戦活動は、インド太平洋地域の米軍部隊が高い柔軟性を備えており、敵対勢力を抑止し、同盟国とパートナー国を安心させる力を持っていることを浮き彫りにするものである」と、空軍はこの当時述べていた。 この西太平洋上に浮かぶサンゴ礁の島には、1935年から飛行場が置かれてきた。再び爆撃の拠点になるのか。
ライアン・チャン(在香港ライター)