「夢の新技術」ペロブスカイト太陽電池…積水化学、パナソニック、アイシンが直面する実用化への共通課題
■ 今後期待されるのは「完成品メーカーと導入企業の共創」 ──2024年5月に「ペロブスカイト太陽電池の普及に向けた戦略策定を目指す官民協議会」が開催されました。これはオールジャパン体制の構築を狙う動きと見られていますが、今後日本製のペロブスカイト太陽電池が世界市場で勝ち抜く上で、国内メーカーにはどのような連携が求められるでしょうか。 葭本 協議会には完成品メーカーだけでなく、自治体や不動産系企業、建設系企業など、ペロブスカイト太陽電池を導入する側の企業も数多く参加しています。この点については、さまざまな期待も寄せられています。 例えば、「フィルム型の太陽電池がどこで、どのように使えるか」という点については、完成品メーカーよりも土地や建物を扱う建設・不動産会社の方が具体的なアイデアを生み出せるかもしれません。今後は、完成品メーカーが使う側の企業とアイデアを醸成しながら、うまく出口戦略を生み出すことが、連携や共創を進める上での重要なポイントだと思います。 ──業界の枠組みを越えた連携が重要になるわけですね。 葭本 もう一つ、見逃してはならないのが「性能評価」の観点です。現在、太陽電池には多数の評価法が存在しています。各社が異なる評価法を用いると、国際市場では各国メーカーの製品同士を適切に評価できなくなります。 既存のシリコン太陽電池には国際標準化された評価法がありますから、今後、ペロブスカイト太陽電池に適した評価法の標準化が求められてきます。そうした動向にも積極的に関わり、ペロブスカイト太陽電池の産業化に日本が出遅れることのないように取り組む必要があると考えています。
三上 佳大