知的障害の娘の人生に「恋愛は絶対必要」、男女交際で成長実感した母 でも出産には迷い…忘れられない義母の言葉「兄姉の人生台無しに」
今年の正月のこと。家族で車に乗っている時に、香奈さんの将来の話になった。長男(24)が「香奈、結婚するん?子ども産むん?」と質問。長女(22)は「海外ではダウン症でも子育てする例はたくさんある」と話し、香奈さんは「頑張るもん」と繰り返した。 岩山さんは結婚までは賛成でも、出産となると答えが出ない。権利は認められるべきだと思うが、香奈さん1人では行政や学校からの連絡を理解できない。支援制度を自ら選ぶことも難しい。何より、義母から言われた「兄姉の人生台無し」という言葉が浮かぶ。 長女は「将来は香奈と住む」と言ってくれているが、岩山さんは強い口調でこう話す。「2人に迷惑をかける選択は、親としてはできない」 「将来、障害者への偏見は薄まっているかもしれない」と思うこともある。「だけど、香奈が弱者なのは間違いない。守るのは、やっぱり身内」。自分が育てるつもりで出産を受け入れるという選択肢も考えてみたことがあるが、ここまで死に物狂いだったことを振り返れば「これ以上できることがあるのか」とも悩む。
夫と話した結論は「結局、その時にならないと分からない」。相手や家族はどんな人か。お互いに支える余力があるか。考えることは多い。 結婚と自立の夢は、香奈さんの人生に彩りを与え、社会のマナーを学ぶ機会にもなった。岩山さんは言う。「問題が起きても人に聞けば何とかなる。不安でも挑戦することによって世界が広がっていく。知的障害でも、当たり前の生き生きした青春が保障されてほしいです」